「墓じまい」が急増 少子高齢化、震災後の避難で管理・継承困難… 「残したい」「負担かけたくない」 供養の在り方思い交錯

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「墓じまい」が急増 少子高齢化、震災後の避難で管理・継承困難… 「残したい」「負担かけたくない」 供養の在り方思い交錯

福島アンテナ

 県内で先祖代々の墓を撤去・移設する「改葬(墓じまい)」が急増している。総務省の調査によると、2024(令和6)年度は東北6県で最多の3398件に上り、この10年間で約1・7倍に増加した。人口10万人当たりの件数は185件で全国12位だ。少子高齢化に加え、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故発生後の避難などで管理・継承の難しさが増している本県特有の背景があるとみられる。供養の在り方が転換期を迎えているとの受け止めもある一方、古里とのつながりが薄れるなど地域への影響を懸念する声も上がる。

 「本当は家族で墓を守りたかった」。昨年に墓じまいした白河市の50代会社員男性は苦しい胸の内を明かす。子どもが古里を離れ、継承が難しくなったことが理由だ。先祖代々の墓を撤去して複数の遺骨を合同で納める合葬施設(合葬墓)に改葬した。次世代の負担を軽減したいとの思いからの苦渋の判断だったという。
 仙台市の無職女性(83)は4月、喜多方市にあった夫の墓を市内の合葬式施設に移した。「故郷で眠りたい」との遺志で仙台市から移設したが、自身の免許返納により片道3時間の墓参が困難になった。「動けるうちに決断できた」と安堵[あんど]する気持ちもある。
 「子どもに管理の迷惑はかけられない」「県外にいるため、とても親の墓を管理できない」―。こうした理由で県内で墓じまいに至る世帯は増加傾向にある。10年前は年間で2千件程度にとどまっていたが、2022年度からは3年連続で3千件を超えるなど高止まりしている。新型コロナ禍で帰省などを自粛し、墓参りができなくなった時期に決断をした人も多いとみられる。新しい納骨先の決定、「改葬許可証」の自治体からの取得などさまざまな手続きがあるため、行政や寺院の関係者への相談も年々、増えているという。
 核家族化に伴う子・孫世帯の県外への転出などだけでなく、浜通りでは震災と原発事故の影響が色濃い。面積の約8割を帰還困難区域が占める浪江町は、避難の長期化に伴い町外へ墓を移すケースが相次ぎ、近年は30~50件台の改葬が続いている。
 そうした中、自治体が整備する合葬墓の需要は年々高まっている。郡山市の「東山霊園合葬墓」では、2025年度末で全体の半数超に当たる4505体が埋葬されている。伝統的な寺院も合葬墓を設けるなど時代に即した供養を模索し続けている。県仏教会長の山田道寿さん(70)=会津若松市・秀安寺住職=は「時代とともに供養の在り方が変わるのは致し方ない」と現状を受け止める。その上で、「形は違っても、故人を尊び供養する心は同じはず」としている。
 一方で、先祖を弔う場を閉じることで古里と関わる機会が大きく減るなど、地元への定着や帰還などへの影響を危惧する声もあり、墓の維持に向けた支援に取り組む自治体もある。

■石材店「駆け込み寺」必要性指摘 悩みや不安複雑化
 墓じまいの急増に伴い地域住民のお墓に関する悩みや不安が複雑化する中、地元事業者はさまざまな要望に応じている。喜多方市の佐藤石材店では墓じまいだけでなく、清掃や除草などの管理代行、境界や所有者を明確にするための墓地の地図作りなども請け負っている。佐藤周一郎社長(45)は「石材店が(悩める利用者の)駆け込み寺になる必要がある」と強調する。
 一方、墓じまいの増加に伴い、墓石の解体撤去などを巡るトラブルが相次いでいる。墓じまいの依頼者が隣接する別の家の墓の解体を誤って指示するといったケースもあり、関係者は注意を呼びかけている。(20260807)