若い世代の声
福島大経済経営学類3年の辻井海吏さん(21)は、不登校の小中学生らの興味関心や学力を踏まえ、学習問題や解答を自動で生成するプログラムを開発した。学びたい分野、習熟度などに応じて出題内容や指導法を設定でき、勉強の意欲向上を後押しする。9月にもフリースクールと学習塾を展開する福島市の「地頭塾」で導入し、有効性を確かめる。「学ぶ楽しさを見いだしてほしい」と願う。
プログラムは人工知能(AI)を活用しており、独学で開発した。名称は「ガクガクAIシステム」。システム上に専用のサイトを設け、指導者、児童生徒がアクセスする異なる窓口を設ける。指導者は解いてもらいたい教科や難易度、出題法などを入力する。児童生徒が解答を重ねると、AIが傾向を蓄積。指導者は傾向を集積したデータベースにアクセスでき、解答履歴などを確認しながら最適な学びを導き出す。
「図を使って分かりやすく」「採点方法は考え方の過程を重視」など、それぞれの学習進度を踏まえた方法を打ち込むと、10秒ほどで問題を作る。冒険ゲームが好きな子どもには探検する主人公目線で出題したり、漫画好きにはイラストに吹き出しを付けて質問したりする構想もある。回答が間違っていた場合、模範解答のみを載せたり、答えを明記せずに考える過程のみを提示したりと、より深い学習につながる表示をする。
一律進行が求められる公立学校の教育方針に違和感を抱いたのが開発のきっかけになった。出身地の埼玉県三郷市の小学校に通っている頃、疑問が解ける過程に喜びを感じた一方、クラス全員で学習の進度を合わせなければならないことにもどかしさが募った。福島大1年生の時、資料作成などで対話型生成AI「チャットGPT」を活用した際に、「これを使って一人一人に寄り添う教育を実現できないか」と考えた。福島大地域未来デザインセンター特任教授の永井義人さん(63)が取り組みをサポートしてくれた。知人の紹介で地頭塾を知り、塾長の小野寺尭大[たかと]さん(33)に導入を打診、快諾を得た。
経済産業省の「地方の若手人材発掘育成支援事業」の採択を受けて1月、開発にこぎ着けた。実用化に向け辻井さん、永井さん、小野寺さんの3人で意見を交わしており、プログラムに反映させる。
将来のベンチャー企業の立ち上げも見据えており、学習意欲の高まりや成績の向上などを確認していく。「誰しも本能的な知的好奇心がある。それを引き出したい」。最先端技術を活用し、児童生徒に勉学の喜びを伝えていくつもりだ。(20260808)


