若い世代の声
福島大大学院食農科学研究科1年の佐藤佳乃さん(23)は、肺炎などの原因となる緑膿(りょくのう)菌が認識する物質「糖鎖」をつくるのに必要な酵素を安定的につくり出す技術を確立した。近年、抗生物質が効きにくい薬剤耐性の緑膿菌が問題となっており、新たな感染予防や治療法を導く研究への活用が期待される。今後は感染を防ぐ化合物の開発などにつなげていく方針。
緑膿菌の感染を抑える新たな物質を探るには、緑膿菌の増殖などにつながる「糖鎖」を人工的に用意し、相互作用を詳しく調べる必要がある。糖鎖をつくる酵素の一つに「FUT2」があるが、研究用の十分な量を確保し、安定して扱うことは容易ではなかった。そこで、昆虫細胞を活用してFUT2をつくり、試験管内で糖鎖の合成に使えるようにした。
さらに、人工知能(AI)による予測を用いてFUT2の特性を変え、研究に利用しやすい酵素の作製にも取り組んだ。昨夏に研究を始め、FUT2を安定してつくるための条件を探るなど試行錯誤を重ねた。3月に技術として確立した。
一連の研究は、7月に山形県で開かれた日本応用糖質科学会東北支部講演会のポスター発表で、最優秀賞に輝いた。5月に青森県で開かれた青森糖質研究会では、若手研究者発表賞に選ばれた。
佐藤さんは「(受賞は)指導、協力してもらっている方々に成果として報告できることがうれしい。緑膿菌の新たな阻害剤を開発することを目指したい」と語った。
※緑膿菌 土壌や水中、人間の体内などに広く存在する。健康な人には害にならないが、高齢者や免疫が低下した人では肺炎などを引き起こす。近年は従来の抗菌薬に耐性を持った場合が確認されており、医療関係者らが警戒を強めている。糖が鎖のようにつながった物質「糖鎖」を認識して、細胞に接着して増殖する特性がある。(20260815)
【写真説明】 緑膿菌に関する酵素の研究が評価を受けた佐藤さん


