若い世代の声
「Where are you from?」と聞かれ「Japan. Fukushima」と答えた。オーストラリアの語学学校で、さまざまな国の人と話す中で何度も繰り返した言葉だ。
「Fukushima」と聞いて、東日本大震災を知っている人がいた。海を隔てた遠い国で故郷の名が記憶されていることに驚いた。同時に少し不思議な気持ちにもなった。私にとって「福島」は通学路の景色や家族との食卓、夏祭りの太鼓の音まで含んだ「暮らし」そのものだからだ。それが相手にとっては、ニュースを通して知った「歴史」なのである。その違いに気付いたとき、私は初めて自分の故郷を外側から眺めた気がした。
国際交流は、外国の文化を知ることだけではない。相手に自分の国や故郷を説明しようとするとこれまで当たり前すぎて見えなかったものが、輪郭を持って立ち上がってくる。海外へ出たことで、私は福島を「知る」ことになった。
震災から15年。福島を語るとき、震災の記憶は決して切り離せない。だからこそ、その先にある日々の暮らしや文化、そこで生きる人々の姿も、自分の言葉で伝えていきたい。「Fukushima」と聞いたとき震災だけでなく、そこに暮らす誰かの顔まで思い浮かべてもらえるように。故郷を語ることもまた、復興の一歩なのだと思う。(20260922)

