若い世代の声
福島大学協働プロジェクト学修「川内村の歴史と魅力を伝える」(担当教員:福島大学地域未来デザインセンター特任准教授 藤室玲治)では9月24、25の両日、村内で魅力探究合宿を行った。川内村の魅力あふれる場所に足を運び、働いている方々から思いを聞いた。
福島大学行政政策学類2年 渡邉祐さん
福島県川内村上川内にある観光施設「いわなの郷」は、村の豊かな自然を生かした観光・交流施設だ。山の清流を利用したイワナの養殖をはじめ、釣り堀やレストラン、コテージ、体験交流館などを備え、釣りや食事を通して川内村の魅力を体感できる。
同施設の魅力は、清らかな水と自然環境を生かして育てたイワナを、釣りと食事の両方で楽しめることだ。釣り堀では、釣り竿や餌を借りることができ、初心者や子どもでも気軽に釣りを体験できる。実際に、釣り初心者の筆者も一匹を釣り上げることができた。
釣ったイワナはその場で下処理され、炭火で約40分かけてじっくりと塩焼きにされる。焼き上がったイワナは、川魚特有の臭みが少なく、身はふっくらと柔らかい。程よい塩味が魚のうまみを引き立て、そのままでもおいしく味わえる。自ら釣り上げた魚を食べる体験は、同施設ならではの楽しみといえる。
しかし、同施設は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故によって大きな影響を受けた。2011年の原発事故に伴う全村避難により、一時閉鎖を余儀なくされた。それでも、役場職員や管理人の渡邉秀郎さんらは避難先から定期的に養魚場を訪れ、残されたイワナの養殖を続けた。さらに、養殖魚の放射性物質検査を重ね、安全性の確認に努めた。その後、検査で放射性物質が検出されない状態が続いたことなどを受け、2013年6月、約2年3カ月ぶりに営業を再開した。県の水産試験場による検査でも、養殖イワナから放射性セシウムが検出されない状態が続いてきたという。
原発事故から年月が経過した今、いわなの郷は、イワナの養殖や観光を通じて地域の魅力を発信する役割を担っている。釣りや食事、宿泊を組み合わせた体験は、村を訪れるきっかけとなり、村内外の人々が交流する機会にもつながる。自然の恵みを生かした施設の歩みは、震災や原発事故によって大きな影響を受けた地域が、地元の資源を守りながら再び人を呼び込む取り組みの一つといえる。いわなの郷は、川内村の自然と食文化の魅力を伝えながら、地域の復興を支えている。

イワナをじっくりと塩焼きにする

イワナを囲み昼食。左端が筆者

焼き上がったイワナ。香ばしい香りが食欲をそそる

