ひたむきな思いが育む椎茸 遠藤きのこ園

ひたむきな思いが育む椎茸 遠藤きのこ園

若い世代の声

 福島大学協働プロジェクト学修「川内村の歴史と魅力を伝える」(担当教員:福島大学地域未来デザインセンター特任准教授 藤室玲治)では9月24、25の両日、村内で魅力探究合宿を行った。川内村の魅力あふれる場所に足を運び、働いている方々から思いを聞いた。

福島大学行政政策学類4年 青山奈那美さん

 福島県川内村北部で菌床栽培の椎茸を中心にキクラゲやマイタケなどを生産する有限会社遠藤きのこ園。代表者の遠藤雄夫さんは2011年の東日本大震災後、役場職員を退職して事業を継いだ。原発事故に伴う価格下落や菌床の原材料の産地変更など、様々な困難に直面しながらも、震災以前よりも事業規模を拡大。栽培ハウスの新設や菌床殺菌用の機械導入など新たな取り組みを続け、技能実習生も含めて一丸となってきのこ栽培に励んでいる。

 遠藤きのこ園では、肉厚で食べ応えのある椎茸を育てるため個数の調整や温度・湿度を細かく管理している。園内で菌床の製造も行っており、良いきのこを作るためにはこの菌床が欠かせないのだという。菌床の材料として秋田などから仕入れたおがくずや米ぬかなどを独自にブレンドし、椎茸菌を植え付ける。専用機械では、1日に約1,080個を製造。原料をブレンドして袋詰めした後、約6時間かけて殺菌する。バクテリアなど菌の繁殖を抑え、椎茸菌が健全に育つ環境を整えるための欠かせない工程だ。栽培には村の井戸水を使用し、出荷先に合わせて品種を選ぶなど原料から栽培方法まで細部にこだわり、椎茸栽培に向き合っている。

 椎茸菌を植え付けてから発生するまでに4~5カ月、そこから約半年後に収穫するのだという。また、ハウス内の湿度や温度を調整し、季節ごとの環境を作り上げることで年間を通じた出荷にも繋げている。一方、同じように管理していても椎茸の発生を促すために菌床をたたく際の力加減や湿度によっても育成状態が変わるなど、栽培には繊細な技術と経験が欠かせない。

 丹精込めて育てた椎茸は、川内村内の「蕎麦酒房 天山」で椎茸のてんぷらとして提供されており、肉厚な椎茸のうまみを楽しむことができる逸品だ。他にも、メルカリでの販売やJAへの出荷を通してスーパーにも並び、村内外の消費者に届けられている。

 園のオリジナルブランド「ひたむき椎茸」には、一つひとつのきのこに愛情を込めて、手間を惜しまずに向き合う遠藤さんの姿勢が表れている。遠藤さんは「できることは全てやって、丁寧に自分たちの手で作っている」と語る。震災後の困難を乗り越え、品質を追求し続ける遠藤きのこ園。そのひたむきな姿勢が、一つひとつのきのこのおいしさを支えている。

 

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栽培されているきのこの様子

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栽培方法の説明をする遠藤さん

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遠藤さん(中央)と記念撮影。左から2人目が筆者(遠藤きのこ園にて)