わたしのUIターンストーリー#02/5月「無頓着だった私」<現在地>

わたしのUIターンストーリー#02/5月「無頓着だった私」<現在地>

福島アンテナ

紺野美史さん(伊達市出身、福島市在住。2022年3月、東京都からUターン。2児の母)

🔶庭付き一軒家

 東京に住むなら築浅、駅から徒歩7分以内、室内乾燥機付きで、宅配ボックス希望!そんな条件でわくわくしていた学生時代がありましたが、今は違います。庭付きの広い賃貸一軒家。それでも家賃は東京の3分の2です。15年以上のペーパードライバーを克服して、今では車で生活圏もぐっと広がりました。牛乳を買いに牧場のカフェまで出かけたり、本宮の糀屋さんにお味噌を買いに行ったり、海外や都会での暮らしを経験した後だから分かる、贅沢な暮らしをしています。

 引っ越してきた当初、賃貸の私たちには関係のないことだし、町内会は面倒なイメージがありました。でも、たまたまお隣のおばあちゃんと話すようになって、気づいたら班長さんを紹介してもらって、そのまま入ることになりました。「子どもが騒がしいかもしれませんが、よろしくお願いします」と挨拶すると、「子どもの賑やかな声っていいね、どんどんうるさくして」と言ってもらいました。気づくと、子どもたちは家の外でも名前を呼ばれるようになっていました。地域の中で見守られている感覚は、東京ではなかなか経験できなかったことです。

🔶違って見える景色

 小さい頃は気にも留めていなかった福島の景色も、今は違って見えます。子どもの頃は吾妻小富士がどれなのか、雪うさぎがどこにあるのかも知りませんでした。今は雪うさぎが見えてくると、もうすぐ春だなあと感じます。あんなに臭くて嫌いだったイチョウも、今は黄色い葉がもふもふしているのを見るのが好きです。銀杏を食べるのも、今はちょっとした楽しみです。海外に住んでいた頃はこういう季節の移り変わりをうらやましいと思っていました。

🔶当たり前なんてない

 今はネットで何でも調べて知った気分になりやすい時代ですが、ここでは実際に体験できることがたくさんあります。ばあちゃん達とジャガイモ掘りをするのも楽しいし、桃狩りは桃の甘い匂いと同時に土の匂いがして、虫を見つけたり、井戸から出る冷たい水で思いっきり水遊びができたり。農家さんのお手伝いに行くようになって、桃はつぼみがなったら摘蕾(てきらい)作業をして、受粉も手作業で…と気が遠くなるような手間をかけて育てられている事を知りました。「固い桃じゃないと嫌だ、柔らかくなった桃なんて食べたくない!」なんて言っていた昔の私に小さなげんこつを落としたくなります。ばあちゃんの家に行くとどっさり貰える野菜も、「ただでもらえるなんて最高!」と言ったら、「こっちは固定資産税を払って育ててるんだ、その辺のスーパーの野菜よりお金かかってんだぞ!」と返ってきました。自分が無頓着だっただけで、当たり前のものなんて何もなかったのだと気づきます。子どもたちはまだ分からないかもしれませんが、こういう感覚を、日々の中で少しずつ感じながら大きくなってほしいと思っています。(つづく)(20260521)

画像

※tenten 結婚や、パートナーご自身の転勤、そしてUターン等により地域に転入した方々(主に女性)の転入後の暮らしのサポートを行う団体です。転入・転勤・Uターン者が「来てよかった」「戻ってきてよかった」と思える社会を作るために、私たちは地域に来た女性の入口となり、居場所と役割をもって自分らしく一歩を踏み出せるきっかけをデザインする活動を行っています。詳しくはこちらのWEBサイトをご覧ください。
https://tentent.info/
福島に移住・転入した女性が、福島の暮らしの情報を発信するサイトも運営しています。
https://tenten-f.info/