新たな命、紡がれる平伏沼 モリアオガエルの産卵期に観察会

新たな命、紡がれる平伏沼 モリアオガエルの産卵期に観察会

若い世代の声

福島大行政政策学類4年 三浦雪乃さん (川内村の歴史と魅力を伝える)

 モリアオガエルの繁殖地として国の天然記念物の指定を受けている平伏沼。今まさにその場所で、モリアオガエルが産卵期を迎え、新たな命が紡がれている。

 21日、川内村では第14回平伏沼観察会が開催された。モリアオガエルは水辺の樹上に白い泡上の卵塊を産むのが特徴で、産卵期になると、普段は水辺の周囲や森林で暮らすモリアオガエルも平伏沼の樹上に集まってくる。観察会では、卵塊を間近で見たり触れたりしながら、沼とその周辺に広がる多様な自然に触れることができる。

 今年の参加者は24人。村内外から、子どもから大人まで幅広い世代が集まった。バスの車内でモリアオガエルや平伏沼についての説明を受けた後、雨の中で観察会が始まった。雨はカエルにとって絶好の条件で、平伏沼には「コロロロロ」とモリアオガエルの鳴き声が響き渡る。残念ながら姿を見ることはかなわなかったものの、参加者は声を頼りに姿を探したり、周囲の自然に目を向けたりと、思い思いに観察会の時間を楽しんでいた。母と訪れた郡山市の9歳、7歳、4歳の三兄妹は、地図帳で平伏沼がモリアオガエルの繁殖地であると知ったことが参加のきっかけになった。観察会終了後には「卵に触れたのが嬉しかった」「カエル大好き」と話してくれた。

 平伏沼観察会は、震災後の全村避難の中で、「村の自慢の一つである平伏沼の様子を届け、少しでも住民に元気になってほしい」という思いから始まった。主催する川内村観光協会の井出茂会長(71)は、「川内村は陸の潮目といわれるほど多様な自然が広がる場所。豊かな自然を次の世代に残し、訪れた人に感動してもらいたい」と語る。沼周辺の裸地化を懸念し、今後は木道整備など観察と保護の両立を進めるとともに、生物の視点から自然環境を捉えるアカデミックな観察会へ発展させたいと熱意をにじませた。

 神秘的で静謐な空気に包まれた平伏沼。だがそこには、確かに新たな命が芽生えようとする力強さと、村民の深い自信と誇りが静かに息づいていた。

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モリアオガエルの産卵期を迎えた平伏沼の様子

 

※福島大協働プロジェクト学修 
 担当教員がフィールドと課題を設定し、指導や助言を適宜与えながら、学生たちが自主的に被災地の復興プロジェクトに取り組むことを通じ、受講する学生の専門性や、地域問題の解決能力、他の専門性を有するメンバーとの協働力・学際性などを養成することを目指しています。