若い世代の声
福島大行政政策学類2年 渡邉祐さん (川内村の歴史と魅力を伝える)
川内村の天山文庫では、詩人・草野心平が寄贈した約3000冊の蔵書など約6700冊の蔵書が保管されている。草野心平さんは「カエルの詩人」と呼ばれ、多くの小学校、中学校、高校の校歌を作詞したことでも知られている。天山文庫では草野心平さんの生活の跡が垣間見え、お酒に酔って壁に残した落書きや、当時使用していたラジオ、2階から来客者の様子をうかがっていたなど館内の至る所に草野心平さんの生活の痕跡が残されている。また、天山文庫の名前の由来として東洋と西洋を結ぶ「シルクロード」のように天山文庫も中央の文化と地方の文化が交わってほしいという思いを込めて、草野心平さんが名付けたそうだ。
天山文庫で受付を担当している井出美穂さん(69)は、来館者から天山文庫を褒められる瞬間が最も嬉しいという。遠方から来られる方も多く、そのような他地域の方に「すごくいいところですね」や「村の宝」「日本の宝」と言われたりすることもあり、井出さん自身もそのような声を聞くと天山文庫の良さを再認識するとともに、その趣ある建物に対する愛着を改めて感じることができると語る。
しかし、天山文庫や草野心平さんに無関心な村民も多く、天山文庫への来館や、天山祭りへの、村民の参加が少ないという現実もあると井出さんは指摘する。天山祭りは今年で61回目の開催となる。しかし、婦人会の高齢化や原発事故、新型コロナウイルスの流行などの影響により、祭りの開催時間が短くなったり、食事が出なくなったりなど祭りの形は以前と比べて変化しているという。それでも、井出さんは村民も天山文庫や天山祭りに積極的に足を運んでほしいと願っている。現在も天山文庫では俳句会が開かれているが、今後はさらに、村民の憩いの場や村民が気軽に来られる場所になることを井出さんは望んでいる。

※福島大協働プロジェクト学修
担当教員がフィールドと課題を設定し、指導や助言を適宜与えながら、学生たちが自主的に被災地の復興プロジェクトに取り組むことを通じ、受講する学生の専門性や、地域問題の解決能力、他の専門性を有するメンバーとの協働力・学際性などを養成することを目指しています。

