ドアを開いた人たち
福島を選び直した母(福島市出身。2019年にUターンし、娘と二人で暮らす)
■寝転んで星を見る
現在は娘と2人で福島市に暮らしています。福島に戻ってきてから、夕焼けがきれいだな、星がきれいだな、と純粋に感じることが増えました。東京や福岡で暮らしていた頃よりも、空を見上げる頻度が増えたように思います。天気の良い日に外で思いきり深呼吸をすると、体中の空気がクリアになるような気がします。
夏の夜、実家近くの田んぼに囲まれた道にレジャーシートを敷いて、娘と蛍と星を見ることがあります。車もほとんど通らない道で、寝転がって空を見上げる時間は、私にとって最高の贅沢です。娘にとっても、夜に外へ出かける特別感があるようで、夏休みにやりたいことを聞くと、「花火、バーベキュー、夜に寝転んで星を見ること」と言うくらい楽しみにしています。そんな姿を見ると、福島に戻ってきてよかったなと思います。きっと東京や福岡では、なかなかできなかった時間です。
■1人で子育て
実家が車で15分ほどの距離にあることも、今の私にとってはとてもありがたいことです。仕事の都合で子どもの習い事の送迎に間に合わない時や、自分の体調がすぐれない時など、何かあった時に家族を頼れる距離感があります。1人で子育てをする中で、この距離感は大きな安心につながっています。
実家では季節ごとにたくさんの野菜を作っているので、タイミングが合えば収穫を手伝ったり、採れた野菜をもらったりします。娘は虫が苦手で、服が汚れることも嫌がりますが、収穫だけは張り切ってやってくれます。できる限り、食べ物が育つ過程を知ってほしいと思って、農地には一緒に出向くようにしています。
■派手ではないけれど
仕事でも、福島の農作物の流通に関わり、農家さんと接する中で、自然豊かな環境や食べ物は、ただそこにあるものではないと感じるようになりました。たとえばお米づくりは、田植えの様子が取り上げられることがありますが、実際にはその日を迎えるまでの水の管理、雑草の管理、日々の細かな作業、周りの人との関わりがあって、ようやく成り立っています。自分が子どもの頃には当たり前だと思っていた田んぼや畑、野菜や果物も、たくさんの人の手によって守られていたのだと、今になって実感しています。
車で少し走れば、たくさんの温泉に入れるのも福島の良いところです。特別な予定を立てなくても、自然や家族や食べ物や温泉が、暮らしのすぐ近くにある。福島での暮らしは派手ではないけれど、ふとした瞬間に「贅沢だな」と思える時間がたくさんあります。(つづく)(20260716)

※tenten 結婚や、パートナーやご自身の転勤、そしてUターン等により地域に転入した方々(主に女性)の転入後の暮らしのサポートを行う団体です。転入・転勤・Uターン者が「来てよかった」「戻ってきてよかった」と思える社会を作るために、私たちは地域に来た女性の入口となり、居場所と役割をもって自分らしく一歩を踏み出せるきっかけをデザインする活動を行っています。詳しくはこちらのWEBサイトをご覧ください。
https://tentent.info/
福島に移住・転入した女性が、福島の暮らしの情報を発信するサイトも運営しています。
https://tenten-f.info/

