ドアを開いた人たち
福島を選び直した母(福島市出身。2019年にUターンし、娘と二人で暮らす)
🔶自然は勝手に残らない
これから福島で叶えていきたいことは、豊かな自然を守っていくことです。福島の農作物を県外の人にも届けたいし、地域にある資源を、きちんと仕事として残していきたいと思っています。
そう考えるようになったのは、自然は勝手に残るものではないと知ったからです。子供の頃と比べて、耕作放棄地が増えていると感じることがあります。実際、私の祖父が持っていた梨畑も今はもうありません。畑は人が耕し続けなければなくなってしまいます。そのことを自分の身近な風景の変化として実感しました。
🔶「大人って楽しそうだな」と
私が子どもたちに残したいのは、田んぼが広がる景色や、桃畑の景色、夕焼け、外で寝転んで星空を見る時間です。どれも特別な観光地ではないかもしれません。でも、日々の暮らしの中にそういう風景があることは、とても豊かなことだと感じています。だからこそ、農家さんの高齢化や畑が減っていく現実を見た時に、ただ懐かしむだけではなく、この風景をどう次につなげていけるのかを考えたいと思うようになりました。
そして残したいのは、風景だけではありません。その風景の中で、大人たちが楽しそうに働き、暮らしている姿も、子どもたちに見せていきたいと思っています。自分の子ども、そしてその次の世代の子どもたちが、大人の背中を見た時に「大人って楽しそうだな」と思えるような生き方をしていきたいです。
🔶残ること、出ること、戻ること 自由に
女性として生きていく中で、結婚や出産を経ても自分らしい生き方を選び続けることは、大変だなと思った時もありました。それでも、自分の気持ちに正直に、住む場所や仕事を選んでいけば、自分の生き方は自分で選んでいけるのだと、今は少しずつ実感できています。ワクワクしながら仕事をすること。いる場所も、生き方も、自分で選んでいいと思えること。そういう姿も、福島で暮らす大人の一つのあり方として、娘に見せていきたいです。
だからといって、娘にずっと福島にいてほしいと思っているわけではありません。むしろ、どんどん外に出て、たくさんの経験をしてほしいと思っています。福島に残ることも、出ることも、戻ることも自由でいい。いろいろな場所や価値観に触れたうえで、そのときの自分に合う場所を選んでいける人になってほしいです。私自身も外に出たからこそ、今、福島で子どもと過ごすという選択をしています。
私にとって福島は、その時々の自分が大切にしたいものを考えた時に、選択肢の中にあった場所でした。福島に戻ることは、過去へ戻ることではありません。今の自分が大切にしたいものに気づき、その近くで暮らすという選択だったのだと思います。(「福島を選び直した母」さんのストーリー終わり)(20260723)

※tenten 結婚や、パートナーやご自身の転勤、そしてUターン等により地域に転入した方々(主に女性)の転入後の暮らしのサポートを行う団体です。転入・転勤・Uターン者が「来てよかった」「戻ってきてよかった」と思える社会を作るために、私たちは地域に来た女性の入口となり、居場所と役割をもって自分らしく一歩を踏み出せるきっかけをデザインする活動を行っています。詳しくはこちらのWEBサイトをご覧ください。
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