担い手確保あの手この手 「おかえり枠」「キャリア・リターン」「ふるさと枠」

担い手確保あの手この手 「おかえり枠」「キャリア・リターン」「ふるさと枠」

はたらこっと

 県内市町村 採用苦境続く

 介護や育児でやむなく離職したり、他業種で経験を積んだりした退職職員を再び迎える県内市町村が出てきた。今春、「おかえり枠」を新設した田村市は筆記試験を免除し、働きながら受験できるよう自撮り動画による面接を取り入れた。会津若松市も同様の採用枠を設けており、退職前と同じ職種に即戦力となる2人を迎えている。かつては倍率が高かった市町村の職員募集は苦しい現状が続き、各自治体は地域づくりの担い手確保に工夫を凝らす。

 田村市が新設した「行政経験者(おかえり枠)」採用は、市が用意した質問に動画で答える「録画(リモート)面接」で行う。いつでも撮影や投稿が可能で、時間や場所を問わずに応募できる。別の職場に勤務する人をはじめ、子どもや高齢者の世話などで時間が取りにくい求職者に配慮した。
 導入の背景には長期化する人材不足がある。近年は専願でなく民間企業と並行し、公務員試験を受ける学生が多い傾向にある。田村市は10年ほど前は数人の採用枠に対し8~10倍の応募があったが、近年は2、3倍にとどまる。内定者の辞退が相次ぎ再募集をかけた年もあり、全国の事例を参考に新制度を始めた。
 会津若松市は2023(令和5)年度から、過去に勤務した職員を再び採用する「キャリア・リターン制度」を導入した。かつての在職時と同じ職種のみ受験可能で、培った知識や技能を即戦力として生かしてもらう。制度を利用し、現在は2人が勤務する。人事課の担当者は「職場にすぐ順応してもらえて心強い。より多くの人が受験できるよう採用制度を検討したい」としている。
 県内市町村は採用条件や手法の変化など、あの手この手で労働力確保に努めている。
 白河市は昨年度、U・Iターンで市内に住んでいるか採用後に定住を予定している人が対象の「ふるさと枠」を設けた。教養試験の代わりに、民間企業の採用でも使われる思考力や判断力を問う「SPI試験」を用いている。広野町は昨年度から社会人経験者の募集を始め、今年度は年齢の上限を39歳から44歳に拡大した。1日時点で条例が規定する職員の定数に9人足りず、積極的な採用活動が必要と判断した。
 間口を広げたが、思うような人材の採用に結びつかない例もある。昭和村は2023年度から「SPI3試験」を導入し、59歳まで受験可能としている。6月の試験には3人が臨んだが、合格者はいなかった。佐竹倫知副村長は「現状で思いつく限りのことはしている。引き続き新たな仲間を迎えられるよう努める」と表情を引き締める。

■柔軟な制度必要 福大の西田教授
 福島大行政政策学類の西田奈保子教授(行政学)は職員不足の影響について「業務に支障が出るだけでなく、指導が行き届かず新入職員がやりがいを失う恐れがある」と指摘する。
 年齢条件の緩和や中途採用の通年募集など、柔軟な制度の必要性を強調。入庁時点で思い描いた業務内容と相違が生じている可能性があるとし、「採用説明会やインターンシップで仕事の魅力や困難を乗り越えた経験を伝えるのが大切だ」と提言している。(20260702)

【写真説明】 就職説明会の市のブースで、採用について説明する三輪係長(右から2人目)。今年度からおかえり枠を設け、人材確保に努めている

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