福島民報社刊 震災・原発事故 あぶくま抄150選

福島民報社刊 震災・原発事故 あぶくま抄150選

福島アンテナ

  「絆」という名の救済があった

  地方紙とは、それぞれの県民の歩みをつづる記録集でもある。とりわけ1面に掲載される各社のコラムは、身近な人に寄り添い、胸のうちを伝えている。福島民報社が発刊した「震災・原発事故 あぶくま抄150選 コラムで振り返るふくしまの15年」には、未曽有の複合災害に見舞われた隣人の苦難が脈打つ。厳しい現実に読者は言葉を失い、打ちのめされそうになるが、救済が至るところに待ち受ける。人はそれを家族の、友人の、そして県民の「絆」と呼ぶのだろう。
 2011(平成23)年3月12日から今年3月31日までに掲載された5000本を超える「あぶくま抄」から、「津波」「原発」「避難」などをキーワードに150本を厳選した。古里を追われての暮らしに対する不安、窮屈な学びの環境を強いられた子どもの戸惑い、風評や出荷制限への怒り、姿形を変えた風景への悲しみ、そして、不屈の魂とも呼べる地域再生への力強い誓いがつづられている。発災から15年の節目に、大災の教訓を後世に伝え、防災意識の風化を防ごうと発刊を決めた。心の復興の「軌跡集」とも言える。
 福島民報1面に「あぶくま抄」が紙面に現れたのは、1948(昭和23)年1月1日だった。県内の出来事、折々の風物、県民の思いをテーマにつづってきたが、2011年3月12日を境に、様相が一変したと言っていい。人類が初めて体験した複合災害が前面に、時には底流となって行間に潜む。
 150選冒頭の「発刊に当たって」には、「描かれているのは、まぎれもない『世界史』の1ページです」の言葉がある。編集に当たった福島民報社論説委員会のスタッフには、この1冊が県内外はもとより、海外の教育現場でも教材として活用されてほしいとの思いがある。
 2011年から2025(令和7)年までの国内、県内それぞれの十大ニュースを、各年の思い出を書き込む自由スペースとともに載せた。福島民報が報道した災害や催事の写真も掲載されている。メモ欄もあり、感想を記入できる。(20260705)

■県内書店などで販売
 「あぶくま抄150選」はA5判132ページで、定価は1000円(税込み)。県内書店、福島民報社の本社、支社、支局、福島民報販売店などで扱う。問い合わせは福島民報社事業局出版部 電話024(531)4182(平日10時~午後5時)へ。

【写真説明】 コラムをまとめた「あぶくま抄150選」
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