被災3県の東北ユースオーケストラが戦後舞台の劇中音楽担当 映画「わたしの知らない子どもたち」 前向く姿銀幕に乗せて

被災3県の東北ユースオーケストラが戦後舞台の劇中音楽担当 映画「わたしの知らない子どもたち」 前向く姿銀幕に乗せて

若い世代の声

 東日本大震災で被災した福島、宮城、岩手3県出身の若者らでつくる東北ユースオーケストラ(TYO)は、第2次世界大戦後の混乱期の日本を舞台にした映画「わたしの知らない子どもたち」(10月全国公開)のクライマックスで流れる劇中音楽「太陽と子どもたち」を担当する。楽団にとって映画音楽への挑戦は初。楽団の前向きに音楽に取り組む姿と映画の主題が重なり、実現した。今秋、団員の思いを乗せた音色がスクリーンを通じて全国に響く。

 配給元のK2 Picturesが7月29日、楽団の参加を発表した。映画は戦争で自由を奪われた少女と教師が過酷な運命を生き抜く姿を描く。新人・小八重葵美さん(13)が少女役、俳優の二階堂ふみさん(31)が教師役で主演する。
 楽曲は映画「国宝」に携わった音楽家の原摩利彦さん(42)が作曲した。原さんは楽団の創設者、故坂本龍一さんに影響を受けて音楽家を志した。2024(令和6)年に奈良県で開かれた音楽イベントで楽団と共演している。
 本作でメガホンを取ったのは、役所広司さん(70)主演の映画「すばらしき世界」などを手がけた西川美和監督(52)。昨年と今年に楽団の演奏会を聞き、団員の生き生きとした演奏に心を打たれた。震災を経験しながらも、音楽にひたむきな団員の姿に映画のメッセージである「困難に立ち向かう姿」が重なり、原さんとともに映画への参加を提案して実現した。
 演奏は中学生から社会人までの団員約40人が参加し、4月末に録音が行われた。原さんは「団員に曲への想像力を高めてもらい、若い感性を生かした演奏になった」、西川監督は「映画の情景をより盛り上げる場面になった」とたたえた。
 楽曲「太陽と子どもたち」の冒頭はピアノの繊細な音色から入る。徐々に管楽器と弦楽器の音を重ねて壮大な音楽を演出した後、静かに締めくくる。ホルン担当の西郷村の公務員矢吹夕渚さん(22)は「かすれていくような音を奏でるパートが難しかった。情景を思い浮かべながら吹いた」と語った。キャプテンで福島市出身の奥山愛唯さん(22)=宮城教育大4年=は、被災地から希望を届ける楽団としての責任感があったとし、「今の環境が当たり前ではない。震災も戦争も風化させてはいけない」と言葉に力を込めた。

■役所さんら13人新たに出演者発表 10月上映予定
 「わたしの知らない子どもたち」は西川監督が原案、脚本を手がけた。29日、役所さんや田中裕子さん(71)、岡田准一さん(45)ら新たに出演するキャスト13人を発表された。
 県内を含む全国の映画館で10月16日に上映される予定。団員が挑んだ演奏や映画の詳細は、作品の公式サイトで確認できる。(20260729)

【写真説明】 原さん(左)の指揮に合わせて「太陽と子どもたち」を演奏する団員=4月18日、福島市

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