オペラ歌手 松浦宗梧さん 29日、福島でソロリサイタル

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オペラ歌手 松浦宗梧さん 29日、福島でソロリサイタル

福島アンテナ

 伊達市出身のオペラ歌手松浦宗梧さん(26)=東京都=は29日午後2時から、福島市のこむこむでバリトンリサイタルを開く。「古里を盛り上げたい」。初の福島での単独公演にかける思いは強い。

 声楽家として活動するまでに、本県でさまざまなターニングポイントがあった。

 小学6年の時、卒業式の練習中に東日本大震災に遭った。伊達中に入学後、被災地支援として伊達市吹奏楽きらめき事業が行われ、東京芸大の学生との交流の機会に恵まれた。福島高では合唱部に所属。3年生の時に県合唱連盟が創立70周年を記念して結成した青少年選抜合唱団に入団した。2017年3月にオーストリアの首都ウィーン、ザルツブルクで催された欧州公演では、音楽が育まれた異国の地での演奏経験が歌の魅力により気づかせてくれた。一年浪人して声楽家の菅野宏昭さん(福島市出身、東京都)とソプラノ歌手阿部絵美子さん(福島市)に師事、憧れの東京音大声楽専攻に進学した。

 現在は東京を拠点にオペラ、歌曲の分野で幅広いレパートリーを生かし活動する。今年5月には第36回奏楽堂日本歌曲コンクール歌唱部門で第2位、最年少出場者に贈られる畑中良輔賞も受賞した。

 オペラなど声楽の舞台では、マイクを使わずに客席の最後列まで自分の生の声を届けることが醍醐味とされる。自身の体が楽器だ。空間に響き渡らせる声を発することで、体全体で音楽を感じている。「内面から湧き上がる感情や歌詞に込められた思いを、声色や気持ちの抑揚に乗せて表現できる面白さがある」。豊かな音を追求する。

 リサイタルでは、同級生で作曲家の藤中聖也さんの「月夜の浜辺」や日本の歌曲を第1部で歌う。第2部は、ロッシーニの「セヴィリアの理髪師」より「町の何でも屋に道をあけてくれ!」などアリアを取り上げる。「古里の福島で音楽の道に進むきっかけを与えてもらった。恩返しとして、今度は自分が感動や素晴らしさを多くの人に伝えたい」と呼びかけている。入場料は一般3千円、学生2千円。