震災・原発事故15年 双葉の伝承館、「博物館」登録 連携生かし発信強化 原発事故の記憶 全国へ

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震災・原発事故15年 双葉の伝承館、「博物館」登録 連携生かし発信強化 原発事故の記憶 全国へ

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双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館は全国の博物館と連携した情報発信を強化する。震災と東京電力福島第1原発事故の発生から15年が過ぎ、風化が懸念される中、博物館法上の「博物館」へ新たに登録し、ネットワークを生かした出張展示を繰り広げる。西日本など震災と原発事故の現状に触れる機会が少ない地域での出展を想定しており、複合災害の記憶と教訓を幅広い地に伝え続ける。15日、伝承館を運営する福島イノベーション・コースト構想推進機構が発表した。全国の登録博物館が集う会合に参加できるようになり、施設間の情報共有や交流が可能になる。震災と原発事故の現状を伝える機会が少ない西日本の登録博物館などに出張展示の開催を積極的に働きかける考えだ。貸し出す資料は津波で流された漂流物や原発事故の避難の経過などを解説するパネル、帰還困難区域内だと表示する看板などを想定しており、今後、詳細を詰める。ただ、開催場所が遠方の場合は運搬費用や距離の面から運べる資料が制限される。限られた内容で複合災害の教訓や復興の歩みを効果的に発信できるかが課題となる。複合災害の記憶と教訓を風化させず、長く伝え続けるための発信力強化には登録博物館となるのが不可欠だった。県内の他館の学芸員らが制度を紹介するなど後押しし、伝承館を整備した県が昨年12月に文化庁に申請した。学芸員の配置人数や開館日数など認定条件を精査し、1日付での登録にこぎ着けた。今後、文化庁から「登録博物館等マーク」が交付される。施設の活動の充実度や公益性を証明でき、信用や知名度のさらなる向上が期待される。震災と原発事故に特化した伝承施設が登録博物館となったのは全国で初めて。高村昇館長は、他の博物館施設との連携をさらに深め、資料の相互活用や情報交換に力を入れていくと強調し「展示や資料収集、調査研究などの事業をさらに充実させ、より魅力のある施設にしていきたい」と述べた。文化庁の担当者は「施設全体の価値が上がり、発信力の向上も見込める。風化防止にもつながるはずだ」と意義を語った。伝承館はこれまで、博物館法に基づく登録を受けていない「博物館類似施設」の位置付けだったため、全国の施設が集う場への参加は限られていた。収蔵物を貸し出す県外での出張展示の開催は交流のある6都県の施設にとどまっていた。※登録博物館文化庁が対象施設の資料の適切な保管や展示、研究の状況、教育活動の実施体制などを総合的に評価し、認定する制度。各都道府県教委が定める基準に基づいて審査される。県内では1日現在、東日本大震災・原子力災害伝承館を含め、県立博物館(会津若松市)や県立美術館(福島市)など15施設。全国で約950施設。認定されると、文化庁が年度ごとに用意する補助事業に申請できるなど財政支援を受けられる。今年度は現時点で施設を象徴するモニュメントの作成、デジタルアーカイブ整備などに必要な経費の一部を補う。