被災乗り越え「農業で復興貢献」 南阿蘇村で農園経営 村田寿政さん 44 (いわき出身) 二つの古里に思いはせ

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被災乗り越え「農業で復興貢献」 南阿蘇村で農園経営 村田寿政さん 44 (いわき出身) 二つの古里に思いはせ

福島のニュース

雲海が広がり、ニワトリの鳴き声が響き渡る午前6時。熊本県南阿蘇村で「ことぶき農園」を営む村田寿政さん(44)=いわき市出身=は、広大な畑で葉物野菜の収穫と苗の管理に精を出す。15年前に故郷を東日本大震災が襲い、移住した熊本県でも10年前に大地震に見舞われた。二つの古里に思いをはせ、「農業で地域の復興に貢献したい」と固く誓う。大学進学を機に上京し、グラフィックデザイナーとなった。2009(平成21)年に宮崎県出身の妻紘子さん(43)と結婚。2011年3月11日は都内の職場で震度5強の揺れを経験した。計画停電の影響で仕事もままならず、無力感にさいなまれた。災禍でも自力で生計が立てられる仕事として農家を志した。2014年に紘子さんと都内の農業系専門学校に入学した。2015年夏、のどかで美しい景観に魅了され、南阿蘇村に移住した。翌春、熊本地震が起きた。村は震度6強の揺れに襲われ、災害関連死を含め大学生ら31人が亡くなった。自宅は屋根瓦がずれ、断水と停電が1週間続いた。過酷な状況でも住民が支え合う姿を見て、地域再生に貢献したい気持ちが芽生えた。農園は2016年9月に開園し、50品目近い野菜を育てる。近隣の飲食店に卸す他、オンラインで詰め合わせセットを販売している。本県の知人からも注文が入る。震災で故郷の景色が変わってしまった寂しさがあるが、生まれ育った地への思いは消えない。2019年に長女寿実[すみ]さん(7)、2022(令和4)年に長男勘太ちゃん(3)が生まれた。農業と育児の両立は大変だが、家族4人で囲む夕食に幸せを感じる。自然豊かな山あいの村に永住すると決めた。村内の農家は高齢化が進む。農園に研修生を受け入れ、若い世代を育成するつもりだ。「先輩農家に教えてもらった恩を少しでも返したい」。第二の古里の未来を思い描いている。