元オランダ公使 菊田豊さん(福島出身)インタビュー 福島の「大ゴッホ展」 本物だけが持つ力感じて

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元オランダ公使 菊田豊さん(福島出身)インタビュー 福島の「大ゴッホ展」 本物だけが持つ力感じて

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福島市の県立美術館で「大ゴッホ展夜のカフェテラス」が開催中だ。ゴッホにゆかりあるオランダで大使館の公使を務めた経験がある、駐ブルネイ大使の菊田豊さん(福島市出身)が日本とオランダの関わり、在任中のゴッホに関する思い出などを語った。◆オランダの言葉と土木技術オランダは日本の鎖国時代に欧州諸国で唯一交流があり、言葉や文化で大きな影響を受けています。コップ、ランドセル、おてんば、やんちゃ、博多どんたく、八重洲などはオランダからきた言葉です。オランダというとチューリップと風車のイメージですね。国土の4分の1は海抜0メートル以下で、風車の力で海水をかんがいして国土を作り上げました。オランダ人が誇りを持って語る「世界は神が創り給うたが、オランダはオランダ人が造った」という言葉があります。高い土木技術は、福島の皆さんには安積疏水のファン・ドールンでなじみがあるでしょう。◆ゴッホの子孫との出会い在オランダ大使館の次席公使だった際、アムステルダムのゴッホ美術館で「ゴッホのひ孫」という方と知り合いました。ゴッホに子どもはいなかったはずと思ったら、弟テオのひ孫でした。彼がフィンセント・ファン・ゴッホ財団で名画を管理しています。とても誠実でにこやかな人物です。ゴッホは生前、公式には赤いブドウ畑の絵1枚しか売れませんでした。兄を支えたテオはゴッホの死後、後を追うように亡くなりました。妻ヨーと息子ウィレムは作品の価値を分かっていて、世界に分散しないよう収集し、ウィレムが財団をつくりました。彼の孫が、私と知り合いになった「ひ孫」です。彼らは単にゴッホの遺産で裕福に暮らすのでなく、人類にとって価値があるものとして管理しています。今、作品を鑑賞できるのは、ゴッホを支える周りの人がいるからなのです。◆ゴッホの生涯と大ゴッホ展ゴッホの生涯は苦難の連続でした。福島市で開催中の大ゴッホ展の第1期は、皆さんのよく知る明るい色彩の「ひまわり」などとは違った初期オランダ時代の暗い色調で、意外に思った方もいるかもしれません。来年6月からの第2期は、死の直前まで筆を握り続けた一人の天才が、生きる魂をキャンバスにぶつけるかのような、うねり、厚み、質感に満ちた筆致を感じられます。写真では決して伝わらない、本物だけが持つ力です。それが福島へ来るすごさを感じながら、ゴッホを支えた人たちへも思いをはせ、皆さん一人一人が生きる勇気の糧としていただきたいと心から願います。