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来場者が20万人に達した「大ゴッホ展夜のカフェテラス」では、福島市の県立美術館を訪れる人々が鑑賞前後に食や名所に触れて県都を活気づけている。1日平均約3600人の来場者の約半数は県外で、遠くは九州や海外のファンも。遠来客は滞在や周遊が期待でき、「ゴッホ飯」を扱う飲食店は想定以上の需要に沸く。福島駅―美術館を結ぶ定額タクシーは連日100組超を送客する。県立美術館の企画展として最多来場者数の更新が視野に入る中、会期延長も決まった。関係者は大型連休を含む残り期間の盛り上げを誓う。24日午前に会場で催された記念セレモニーでは、20万人目となった仙台市の会社員千田景子さん(39)に実行委員長の鈴木竜次県教育長、県立美術館の増渕鏡子副館長、実行委員会事務局長を務める関根英樹福島民報社取締役郡山本社代表が記念品を贈った。千田さんは東北新幹線と福島交通飯坂線を乗り継ぎ午前8時30分に一番乗りした。「まさか20万人目になると思わなかった。ゴッホ作品をじっくり鑑賞し、記憶に焼き付けたい」と笑顔を見せた。実行委員会の開幕から4月19日までの来館者データを見ると、県内が51・6%、宮城県が20・3%で計7割を占め、山形、東京、新潟の各都県が続く。九州の他、台湾、香港、タイなどアジア圏からも一定の来場がある。男女別では女性が64・9%と多数を占める。曜日別では金、土、日曜に来場者が増える傾向がある。県立美術館によると、過去に催された企画展の最多来場者は21万2796人だった。企画展ごとに開催期間が異なるため単純比較はできないものの、開館日が6日増え、残り21日間となった大ゴッホ展が記録を塗り替える公算は大きい。岩手県久慈市から東北新幹線で24日に訪れた会社員大沢恵美さん(40)は、福島駅に展示されたゴッホ作品にちなんだ絵画や生け花に注目した。「まち全体で展示会を盛り上げようという熱意を感じた」と初めて降り立った福島市の印象を語った。館内のレストランで昼食も楽しんだが、日帰りで散策しきれなかった。「今度は温泉に泊まりたい」と再訪プランを口にした。大阪府豊中市の60代自営業男性は福島空港を使って24日に来場し、2泊3日の日程で福島、会津若松、郡山の3市を周遊するという。「大ゴッホ展や花見山に加えて広い県内を回り、春の福島を堪能したい」と笑顔を浮かべた。飲食、宿泊県都沸くタクシー利用客も増加活況は飲食や宿泊などに波及している。福島駅東口の整形靴・コーヒー専門店「ヴェアクシュタットオオゼキ」はゴッホの「ひまわり」をイメージしたメニュー「ソレイユラテ」を開発し、開幕前に見込んだ2倍の200杯以上を既に提供した。店長の大関悠人さん(41)は「連休明けも市内を巡ってもらえる」と会期延長を歓迎した。福島市飯坂町の旅館祭屋湯左衛門には、大ゴッホ展を目当てに大阪府や宮城県から宿泊客が来た。社長の柳沼公貴さん(53)は「展示スペースが広く、ゆっくり鑑賞できるのが魅力と聞いた」と語る。福島駅と県立美術館を結ぶ定額タクシーは初日の2月21日~3月31日の34日間に1日平均110人が利用した。普段は美術館への送客は1日数人で、福島地区タクシー協同組合事務局長の安斎浩さん(64)は「恩恵は大きい」と喜ぶ。市役所に車を止め、バスで市内を巡る「パークアンドライド」は3月21日~4月19日で前年同期比7倍の1590人が利用し、うち80%以上は美術館で降車した。

