復興検証 震災・原発事故15年 第8部 復興の針路❹「無駄」の線引きに葛藤 復興事業「年数のみでは…」

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復興検証 震災・原発事故15年 第8部 復興の針路❹「無駄」の線引きに葛藤 復興事業「年数のみでは…」

福島のニュース

長期にわたる増税などで得られた財源に基づく東日本大震災、東京電力福島第1原発事故からの復興事業。国民に広く負担を求める形で、総額40兆円という過去の災害復旧をはるかに上回る巨額の予算が投じられてきた。15年の間には行政のチェックの網の目をくぐるように無駄や不正とされる支出が時折、表面化した。成果が乏しいとの批判にさらされた予算も少なくない。「人がいない所にどこまでお金をつぎ込むのかということの根本が問われている」。2024(令和6)年秋の政府の行政事業レビューで、委員の津田塾大総合政策学部教授の伊藤由希子は原発事故からの復興政策に疑問を呈した。議論のテーマとして被災地の生活環境整備のため、年間600億~700億円が計上されている福島再生加速化交付金が挙がった。住民の帰還率が3割弱の地域で交付金を活用した学校整備などが進んでいる点に触れ、「砂上の楼閣のようなものになってしまう」と厳しく指摘した。福島県内の行政関係者はこうした意見を納税者である国民の「声なき声」と真摯[しんし]に受け止める。一方で、前例のない自治体の全域避難、帰還の開始時期の時間差など原発事故特有の事情への理解が乏しい現状への不満もくすぶる。復興事業の「無駄」を巡る線引きには葛藤が生じている。発災直後の復興事業を巡っては、国などが速度や地元要望を優先してインフラ復旧に取り組んだ一方で人口減少など将来の課題への分析が不十分なまま進んだ工事などもあった。結果、過大な規模の設備が「地域の実情に合わない」と問題視された例は枚挙にいとまがない。こうした地震・津波被災地の教訓を踏まえ、原発事故復興は住民や事業者の帰還見通しなどを慎重に見極めた上で事業規模を判断している。それでも、長年の取り組みに対して被災地の帰還率や域内総生産(GDP)が伸び悩む現状がやり玉に挙がる機会は増えている。全域避難を強いられた町村の首長は被災地を突き放すような空気のまん延に強い危機感を抱く。帰還・移住促進など前例のない取り組みは試行錯誤の繰り返しで成果が出るのに時間を要するためだ。帰還率の高い地域でも高齢化が深刻化している。ある町長は「復興を進めるごとに新たな課題が生じている」とし、年数の経過のみで事業の存廃を判断するのは早計と論じる。9日に関係省庁で要望を行った知事の内堀雅雄も「住民が戻るスピード感は地域によって異なる現実がある」と述べ、避難指示解除時期の違いを踏まえた中長期的な対応が必要と訴えた。「第3期復興・創生期間終了後はどれだけの事業に理解が得られるか…」。被災自治体の懸念が高まる中、手をこまねくことなく、15年間の取り組みを自ら省みる動きも出始めた。川内村の検証事業は「復興に向けた国民の目は厳しくなっている」(村長の遠藤雄幸)との考えに基づき始まった。国の補助金を含め約530億円を充てた延べ約1500事業を46項目に区分。効果や課題が残る分野などを確認している。高齢者らを対象とした外出支援サービスなどは必要と判断した一方、旧緊急時避難準備区域の帰還住民に配った「地域振興券」は分断を生むなど想定した効果を得られなかったと厳しく評価した。検証結果は、「真に必要な予算」について理解を求め、引き続き国に要求する際の根拠とする考えだ。6月中に公表予定の検証結果は県内外からの注目が集まる。村総務課の担当者は「復興とは何かという問いに向き合う作業でもある。取りまとめが終わりではなく、結果を村づくりにつなげていく」と新たな復興の形を模索している。(文中敬称略)