福島便り
福島県内の裁判所で審理された東京電力福島第1原発事故などに関する事件記録67件が、事実上永久的に保存する「特別保存」に認定された。福島地裁・家裁が26日までに決定し、ホームページで公表した。
原発事故関連で特別保存となった記録は、被災者が国と東電に損害賠償などを求めた生業(なりわい)訴訟や、原発構内で働いていた元作業員が不適切な指示で無用な被ばくを余儀なくされたとして東電などに賠償を求めた訴訟など。67件には家裁の少年事件3件が含まれている。
史料的価値が高い記録などは特別保存すると定められていたが、1997(平成9)年の神戸連続児童殺傷事件などの重大少年事件の記録の廃棄が明らかとなり、最高裁が2023(令和5)年に新規則を制定した。福島地裁・家裁は重要な憲法判断が示されたり、全国的に社会の耳目を集めたりした事件かどうかを踏まえ、特別保存する記録を決定した。
裁判所に特別保存を要望できる規定も定められ、福島地裁・家裁は9月24日まで要望を受け付けている。特別保存とならなかった記録は順次、廃棄手続きが進められる。