福島便り
福島市の石橋群保存会は「福島の石橋群」が土木学会による選奨土木遺産に認定された際の記念シンポジウムの内容などを収めた報告書を作成した。石橋群の概要や認定に至る経緯、有識者による基調講演、出演者によるパネルディスカッションの内容などを掲載している。図書館や行政機関への提供だけでなく、ウェブでも公開しており、同会は「郷土の歴史研究や地域づくりに幅広く活用してほしい」としている。
報告書では、福島市の松川橋の土木遺産認定を目指したのをきっかけに調査を行い、福島県内に九つの石橋が現存することが判明した経緯などを紹介。各石橋の特徴や遺産としての価値などを写真とともに解説している。
2023(令和5)年11月に福島市で開催したシンポジウムでは、「石橋群が紡ぐ歴史・人・地域」のテーマで意見交換した。中学校教員が地元の宝である橋を知ることで子どもたちが「地域を大切にしよう」と思うきっかけになったことを紹介した場面や熊本県の学芸員が国宝となった日本最大級の石橋「通潤橋」を取り上げた逸話などを詳しく知ることができる。福島市の荒川に架けられた信夫橋の昔の姿など貴重な資料も載せている。
報告書は全92ページで200部作成した。国土交通省や県、福島市、県立図書館や各団体に配布した。丹野義明会長や加藤一郎事務局長は報告書の完成報告のため福島民報社を訪れた。「石橋の文化が県内外で盛り上がるために活用されればうれしい」と話している。
松川町観光協会のホームページでダウンロードできる。URLはhttps://www.matsukawa-kanko.jp/