出生10人以下15町村 2024年福島県内三島と檜枝岐ゼロ

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出生10人以下15町村 2024年福島県内三島と檜枝岐ゼロ

福島便り


福島県内59市町村の2024(令和6)年の出生数は会津、南会津地方を中心に15町村で10人以下だった。このうち三島と檜枝岐の2町村はゼロ。県によると、統計がすぐに確認できる1989(平成元)年以降、市町村単位で年間の出生がなかったのは初めて。少子化の深刻さが改めて浮き彫りとなり、県や市町村は地域の活力の維持に向け人口減少対策や移住・定住の促進に一層力を入れていく考えだ。県が27日に公表した現住人口調査年報で明らかになった。
2024年の市町村別の出生数は【表】の通り。ゼロだった三島、檜枝岐の他、1~10人だったのは古殿、鮫川、北塩原、磐梯、湯川、金山、昭和、下郷、只見、川内、双葉、葛尾、飯舘の13町村。県中・県南と会津の山間部や、東京電力福島第1原発事故に伴い避難区域が設けられた浜通りの町村が目立つ。出生数10人以下は前年の2023年に11町村、2022年に9町村で、ここ数年拡大傾向にある。
市町村別で出生数が最も多かったのは郡山市の1697人。いわき市1599人、福島市1284人と続いた。県全体の出生数は8337人で前年に比べ732人減った。
県は2025年度の当初予算で人口減少対策の関連事業に前年を36億円上回る639億円を確保した。各地域で抱える課題は異なるため、七つの地方振興局が管内の特徴を分析した上で戦略的な施策を展開するなど、きめ細かな対応で人口減少に歯止めをかけたい考えだ。
県の1月1日現在の推計人口は173万8228人だった。前年比2万3625人の減少。自然動態は出生8337人に対し死亡2万7216人で1万8879人減った。社会動態は転入2万8136人に対し転出3万2882人で4746人の減だった。■各自治体で関連施策「差別化難しい」
県内の各市町村は県と同様、少子化が教育や地域の維持に影を落とさないよう関連施策を推進しているが、有効な手だてを見いだせていないのが現状だ。
出生がなかった三島町は給食や保育料無償化、移住・定住に向けた空き家活用への補助などに取り組んでいる。ただ、町の担当者は周辺の町村にも同種の事業があり「差別化が難しい」と対応に苦慮している。
危機感は出生が10人以上の自治体でも高まる。19人が生まれた浅川町は児童数の減少に伴い2019年、三つの小学校を統合した。その後も人口減少の傾向は続く。町の担当者は「子育てに優しい町を推進していくしかない」と述べた。
田村市の出生数は119人だった。5町村が合併して市になった2005(平成17)年に比べ、20年で半数以下になった。飯村新市・教育長は「子どもたちの数が減れば、学校運営にも課題が出てくる」と受け止める。2023年には市内船引町の小学校を7校から一気に3校に減らした。飯村教育長は「魅力ある教育を展開し、将来、古里に帰ってきてもらえるような環境を整えたい」と話す。
一方、「出産はプライベートな問題」とし、行政が踏み込むには限界があるとの指摘もある。会津地方の出生数10人以下の自治体担当者は「悲観的になっても仕方ない部分がある」とした。