只見線観光阻む雪 運休続き来訪者減 挽回へ代替手段PR プレDC目前 福島県

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只見線観光阻む雪 運休続き来訪者減 挽回へ代替手段PR プレDC目前 福島県

福島便り


大型観光企画「ふくしまプレデスティネーションキャンペーン(DC)」の開催を目前に控える中、今冬の大雪で一部区間が終日運休となっているJR只見線の沿線地域で、観光への影響が出ている。地元では観光施設の来館者が激減し、一日の売り上げがゼロの店も。沿線にはいまだに多くの雪が残り、除雪の見通しが立たないため運転再開の時期は不透明なままだ。関係者は早期の再開を願いながら、送迎や代わりの交通手段での観光の呼びかけに力を入れるなど対応に懸命になっている。
運休している会津川口(福島県金山町)―大白川(新潟県魚沼市)駅間にある只見町のJR只見駅周辺ではいまだ人の背丈ほどの雪が残る場所もある。線路も白く覆われたままの部分が多く見られる。
駅前の町インフォメーションセンターのスタッフ吉津てるみさん(66)は「春休みなのに来訪者が少ない」とため息をつく。只見線グッズや町の特産品、加工品などを販売しているが、2月4日から続く運休以降の売り上げは昨冬の3割にとどまる。来館者も昨年2月の約1200人から約550人と半減した。運転再開時期の問い合わせも多いという。駅前でじゅうねん油などを製造販売する、げんき村も売り上げ「ゼロ」の日があり、社長の藤田力さん(77)は加工品などの納入業者らへの影響も懸念する。
金山町も同様の状況で、道の駅奥会津かねやまの担当者によると、訪日客(インバウンド)や鉄道ファンの姿は目に見えて減ったという。運休区間の周辺にも影響が広がり、三島町の会津宮下駅前の町観光交流館からんころんは、2月の来館者が前年の半分以下になるなど例年にない落ち込みという。
県によると、会津川口―只見駅間の除雪作業着手のめどは立っていない。同区間で線路脇の複数箇所で雪崩が発生し、気温が上がれば今後も雪崩や落雪の恐れがあるためで運行再開時期は不透明だ。
4月から6月までのプレDCを見据え、沿線地域では豪雨被害からの全線復旧後に好調となっている入り込みを何とか維持しようと関係者が新たな試みを取る。金山町では運休区間にある一部の宿泊施設が会津川口駅からの送迎を始めた。只見町では自家用車など代わりの交通手段での観光を提案。名所などを幅広く巡ってもらう考えだ。それでも町の担当者は「4月下旬の臨時列車運行には再開してほしい」と切実だ。■桜の名所、一部で枝折れ被害
撤去・補修作業一段落
会津の一部の桜の名所では、雪の重みで枝が折れる影響があったが、関係者の努力により、プレDCを前に撤去や補修作業が一段落した。
ソメイヨシノを中心に約千本の桜が囲む会津若松市の鶴ケ城公園は、細かい枝が地面に散乱し、開花を宣言する基準木も被害に見舞われた。折れた箇所には腐食を防ぐ塗布剤が施され、4月1日のさくらまつりの開幕を待つ。喜多方市の日中線しだれ桜並木も、市が管理する3キロ区間で60本ほどで枝折れが確認されたが、すでに委託業者が修繕を終えた。