地域を見守ってきた巨木に感謝「これまでありがとう」 「御神木」のケヤキ伐採 福島県玉川村の大雷神社

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地域を見守ってきた巨木に感謝「これまでありがとう」 「御神木」のケヤキ伐採 福島県玉川村の大雷神社

福島便り


福島県玉川村小高地区の大雷神社にある御神木のケヤキが伐採された。大きくなり過ぎた根が石垣を崩したり、枝が落ちたりして安全性の懸念が高まったため伐採が決まっていた。「これまでありがとう」。住民は地域を見守ってきた巨木との別れを惜しみつつ、感謝の思いを示す。
宮司の岩谷勝雄さん(73)によると、大雷神社は1609(慶長14)年の阿武隈川の氾濫で社殿などが流失し、翌1610年に現在の小高地区に移った。
参道入り口脇にある御神木のケヤキも当時からあったとされ、樹齢は推定約500年。高さ約30メートルで、二股に分かれた姿が特徴だ。御朱印を求める県内外の参拝客から注目を集めるなど、神社の象徴的な存在だった。
一方で、近年は根が周囲の石垣を崩したり、参道の石段を持ち上げたりする影響が出ていた。枝も神社前の道路にかぶさるように張り出し、強風で落下することもあったという。
このままでは歩行者のけがや通行車両の事故などにつながりかねない―。「苦渋の決断」(岩谷さん)だったが、1月の総代会で御神木を伐採する方向で意見が一致。2月末まで住民から意見を集めた上で、3月に正式決定した。
伐採作業は24日に始まり、27日に終了した。小高地区で生まれ育った氏子の溝井幸夫(76)さんは、小さい頃からご神木の周りで遊んできた思い出がある。「寂しくなるけど、これまでに感謝だね」と話していた。(県南版)