福島便り
三菱ケミカルグループは31日、いずれも福島県いわき市小名浜字高山にある三菱ケミカル小名浜工場と、新菱いわき工場での全製品の生産を2027(令和9)年3月末までに順次、終了すると発表した。両工場の従業員約300人には今後、希望を聞きながらグループ内の生産拠点などへの配置転換や再就職支援を行う。
三菱ケミカル小名浜工場はアンモニアやメタノール、電子工業用の高純度薬液など、新菱いわき工場はファインケミカル製品などの化学品を生産している。同グループによると、中国など海外からの安価な競合品の流入や、原材料費・物流コストの高騰などに伴い採算性の確保が難しくなっていた。需要の高い製品を他の拠点でも生産していることなどから両工場での生産終了を決めた。生産を終える時期は取引先などと調整して決定するとしている。
両工場は小名浜港に隣接している。同グループが所有している敷地約60ヘクタールのうち、両工場は約30ヘクタールを占めている。生産終了後の跡地利用などは今後検討する。物流、設備メンテナンスのグループ会社は敷地内での操業を継続する。
三菱ケミカル小名浜工場は1937(昭和12)年9月に日本水素工業として操業を開始し、後に日本化成となった。2020(令和2)年10月には三菱ケミカルの一部製品と旧小名浜蒸溜社の事業を移管・統合して、新菱いわき工場を発足させた。