福島便り
頰が赤くなる「伝染性紅斑(リンゴ病)」が福島県内で流行している。子どもに多く見られる感染症だが、大人にもリスクがあり、妊婦から胎児にうつる可能性もある。専門家は対策として、マスク着用と換気の徹底を呼びかけている。
今年と昨年の県内1医療機関当たりの感染者数の推移は【グラフ】の通り。今年は第2週(1月6~12日)に2・0人を超え、警報レベルが続いている。第11週(3月10~16日)の2・23人、第12週(3月17~23日)の1・79人は都道府県別で最も多かった。福島医大感染制御学講座の山藤栄一郎主任教授は要因について「明確な答えを出すのは難しい」とした上で、コロナ禍の徹底した感染対策でリンゴ病を含めた疾患の感染も防いできた中、新型コロナウイルスの5類移行でマスク着用などをやめたことで感染につながった可能性があるとみている。
リンゴ病は空気を媒介して感染するため、家庭や学校現場などの集団生活で広がりやすい。山藤主任教授は「感染症の流行時にはマスクの着用や換気による対策を講じてほしい」と呼びかける。妊婦が発症すると胎児に母子感染するケースがある。石川町の石川中央医院は感染した子どもの親や親族に妊婦がいないか必ず確認しており、西牧丈夫院長は「普段の生活で周囲に妊婦がいる場合は感染に注意して」と促す。
妊娠2カ月で3人目の出産を控える会津美里町の保育士斉藤まさみさん(30)は「3世帯で暮らしており、家族ぐるみで警戒したい」と気を引き締める。福島市の吉井田小は児童に手洗い・うがいなどを促し、各教室に消毒液を設置。保健だより、メール連絡などで対策を周知している。