福島県只見町また橋流失 冬季通行止め中の252号国道、雪崩か 2022年には付近の橋被災

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福島県只見町また橋流失 冬季通行止め中の252号国道、雪崩か 2022年には付近の橋被災

福島便り


福島県は、只見町田子倉字鬼[おに]面[つら]山の国道252号に架かる出[で]逢[あい]橋が流失したと11日、発表した。雪崩が原因とみている。冬季通行止め中だったため人的な被害は確認されていない。2022(令和4)年3月には近くの「あいよし橋」が流失しているのが見つかり、迂[う]回[かい]路を設けて新しい橋を架けているさなかの被災。現場付近は再び通行不能となり、再開通は見通せない状況だ。只見町から新潟県魚沼市に抜ける観光客に人気の経路のため、地元からは地域活性化への影響を懸念する声が上がっている。
出逢橋は県管理で長さ40メートル、幅9・2メートル。除雪を県から請け負った建設業者が10日、安全確認のためドローンを飛ばしたところ、橋がなくなっているのが分かった。現場の痕跡などから雪崩があったと判断した。県によると付近は現在、例年より多い約3メートルの積雪があるという。冬季の通行止めが解除されるのは通常だと4月下旬。
2022年3月にあいよし橋の流失が判明した際、出逢橋の橋桁にも雪崩の影響とみられる損傷が見つかった。県によると出逢橋の強度などには問題がなかったため、付近の旧道を迂回路にして通行できるようにした。その後、あいよし橋と出逢橋を通らずに済む経路での新しい橋の工事が2023年6月に始まった。
出逢橋の山側に旧道が残っているが迂回路として使えるかは不明で、県道路管理課は「再開通の時期の見通しは立っていない」とする。新しい橋の建設現場への出入りにも影響し、現段階で完工の時期が定まっていない工事に支障が生じる可能性もある。県は対策本部を設置し今後の対応を検討する。
国道252号の只見町から新潟県魚沼市に抜ける県境区間は「六十里越」と呼ばれ、新潟県側と同町を結ぶ唯一の通行可能な一般道。他県からの会津地方への観光ルートにもなっており、2021年の調査によると1日当たり701台の通行量があった。大型観光企画「ふくしまプレデスティネーションキャンペーン(DC)」や来年のDC本番の誘客への期待が高まっていた。大雪の影響でJR只見線会津川口(金山町)―大白川(新潟県魚沼市)駅間は2カ月以上運休が続いており、地元観光関係者は「二重の大打撃だ」と嘆き、早期の再開通を求めている。■県内各地で雪崩被害
県「対策必要」
積雪量が多かった今冬は県内各地で雪崩によるインフラ設備への被害が発生している。県道路管理課の担当者は「これまで雪崩の影響がなかった場所などでも、雪が多くなることを想定した対策が必要になる」と話した。
出逢橋は2003年3月の完成から22年で「橋としては古くない」(県道路管理課)。斜面が急な山あいの沢に架かっており、周辺は雪崩が発生しやすい地形。例年、12月から4月下旬まで車両の通行を規制する対策を取っており、雪崩を防ぐスノーシェッドなどは整備していなかった。
あいよし橋の代わりに整備中の新しい橋は雪崩が発生しても影響がない位置に架ける計画だ。ただ、今回の流失を受け、同課は「専門家の意見を聞き、改めて強度などを検討したい」としている。