福島便り
福島県南相馬市原町区の洋菓子店「菓詩工房わたなべ」に隣接するカフェは、18日にオープンする。開業のためにクラウドファンディングで募った資金は当初の目標を上回った。準備を進めてきた4代目店主の渡部匠さんは「応援の声に応え、夢あふれる空間にしたい」と意気込んでいる。
市内小高区にあった菓詩工房わたなべは、先代で父の故幸史さんが「おとぎの国」のイメージで商品や店舗を一新し、知名度を上げた。東京電力福島第1原発事故で原町区に移転。県外で修行していた匠さんが、幸史さんの急逝に伴い帰郷し、新たな魅力にしようとカフェを併設した。
現在の店舗や小高の店の雰囲気と合わせ絵本に登場するような古民家風のデザインにした。小高区の店で使っていた看板やドアなどの調度品を再利用し、「懐かしさ」も兼ね備える。店自慢のケーキに加え、匠さん自らが調理するパスタやオムライスなどを提供する。店内に22席のほか、テラス席を備える。小さな子ども連れが安心して会食できる個室も用意している。
カフェ開設に向けてクラウドファンデングを始めたところ当初の目標の150万円を超える200万円が寄せられた。かつて小高の店に通っていたが、今は原発事故で県外に避難している―というファンもおり、匠さんは「新たな出会いはもちろん、再会の場として足を運んでほしい」と願っている。
詳しくはインスタグラム(https://www.instagram.com/kashikoubou_watanabe/)へ。(相双版)