福島便り
福島県南会津地方の救急患者の心電図データを救急車から医療機関に速やかに送る取り組みが始まった。南会津地方広域消防本部は4月に遠隔伝送システムの運用を開始した。地元の医療機関で撮影したCTや外傷の画像も送る。場所によっては会津若松市の主要医療機関まで搬送するのに1時間以上かかる。地理的に不利な条件を解消し、命を救う確率を上げる。
これまでは救急車内で記録したデータを医師に口頭で伝え、搬送後に心電図検査などを行い、医師が診断して治療を始めた。急性心筋梗塞などの心疾患は早期の診断が重要になる。
心電図データをスマートフォンの専用アプリで撮影し、搬送先の医療機関に送る。医師が患者到着前に容体を把握して受け入れ準備を整え、治療開始の時間を短縮できる。会津中央病院との取り組みが始まり、竹田綜合病院とも調整中だという。県立南会津病院も対象だ。
地元の医療機関で撮影した頭部などのCT画像の送信も可能になった。事故などによるけがの部位も撮影して送れる。
データを送る際、患者本人や家族の同意を得る。消防本部の全7救急隊にシステムを配備した。湯田実警防課救急係長は「搬送後すぐに治療を始められるようになった。救命率は上がる」と効果に期待する。(会津版)