福島便り
福島県大熊町野上の国道288号沿いの山林で14日、ツキノワグマが捕獲された。県自然保護課によると、県に統計が残る2013(平成25)年以降、浜通りでツキノワグマが捕獲されたのは初めて。イノシシ用のわなにかかっていた。周辺に他の熊がいる可能性があるとして、県や町は注意を呼びかけている。
15日、町への取材で分かった。町によると、わなはイノシシによる被害を防ぐため、町有害狩猟鳥獣捕獲隊が仕掛けていた。14日午前9時ごろに捕獲隊が見回りをしていたところ、わなの中にツキノワグマがいるのを発見した。体長1・6メートル、体重72キロのオス。町は県や双葉署に通報した上で、人的被害が出る恐れなどを考慮して殺処分した。
県内では阿武隈川より東側に熊はいないとされてきたが、近年は生息域を拡大。浜通りでも多数の目撃情報が寄せられ、足跡などが確認されていた。大熊町での初めての捕獲はそれを裏付ける結果となった。
4月後半以降は冬眠明けの熊の活動が活発になるとされ、県自然保護課は山菜採り・登山での入山者や、里山の住民らへの啓発を強める方針。担当者は「熊が出た地域には、なるべく近づかないようにしてほしい。山菜採りや登山は複数人で入山する必要がある」と注意喚起している。