福島県会津若松市に防災庁誘致へ 商工会議所 大規模災害の少なさやICTの充実などアピール

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福島便り


会津若松商工会議所は、政府が2026(令和8)年度内の創設を目指す防災庁の福島県会津若松市への誘致に乗り出す。近く、市に働き掛け、連携して5月にも国に要望する方向で調整する。優位点として、大規模災害の少なさ、スマートシティ事業に基づく情報通信技術(ICT)の基盤整備の充実、鶴ケ城周辺の既存施設の活用などをアピールしたい考えだ。■5月にも国に要望
人口減少が進む中、政府機関が立地すれば、関連企業の集積を含めた雇用創出、交流人口の拡大が見込め、地域振興につながると判断した。ICT基盤の強みを生かし、デジタル庁の機能移転も視野に入れる。15日、正副会頭や部会長でつくる誘致促進会議を設立した。実現には市の働き掛けが欠かせないとして、今月中に室井照平市長に誘致活動の展開を要望する。
防災庁創設までの準備期間が限られることを踏まえ、同会議としては既存施設の活用を市に提案する。5月7日の市役所新庁舎供用開始に伴い、空き施設となる追手町第2庁舎(旧会津学鳳高)などが候補になるとみられる。鶴ケ城周辺という城下町らしい魅力もアピールポイントになるとみている。防災の観点では、東日本大震災時に被災者を受け入れた実績と知見があり、磐越自動車道やJR磐越西線といった横軸の交通網が大規模災害時に縦軸の迂回路になるなどの利点があると分析している。
設立会合で、渋川恵男会頭は「防災庁の誘致がかなえば、会津若松が活性化すると確信している」とあいさつした。役員選出で渋川会頭を会長に選んだ。元衆院議員の菅家一郎氏が顧問に就いた。
防災庁設置を巡り、政府は1月末に有識者会議を立ち上げ、本格的な検討に入った。石破茂首相は地方への立地の可能性を示唆している。県内では、いわき市が誘致に名乗りを上げ、福島市も前向きな意向を示している。