福島便り
福島県鏡石町のかがみいし田んぼアート実行委員会は、今季から全国供給を目指し黄色稲の栽培を試験的に開始する。全国有数の産地で知られる青森県の田舎館[いなかだて]村が黄色稲の種もみの販売を中止したことから、全国田んぼアート連絡協議会から要請を受けて取り組む。
21日に開かれた実行委員会で明らかにした。栽培地は同実行委員長の和田和久さん(65)が所有する休耕地(広さ約3アール)で、古代米の品種「黄大黒」を植える。60キロの収穫を目標に5月の田植えに向けて今週から育苗を始める。
東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後、休耕地になっていたが、14年ぶりに田んぼとしての活用を再開する。和田さんは「やるからには成功させたい。鏡石の種もみが全国で使われれば、地域の魅力や福島の復興のPRにもつながる」と言葉に力を込めた。
田んぼアート用の黄色稲は田舎館村を中心に栽培され、種もみは全国の自治体や団体に販売されてきた。近年の猛暑や種もみの乾燥過程の不具合などが原因で稲の発色が振るわず、今年度から販売を取りやめた。全国田んぼアート連絡協議会の岡野真吾会長と町、実行委が協議し、今季からの栽培開始に着手した。