福島便り
福島市の桜の聖母短大は2026(令和8)年度、共学校に移行する。女子短大として設立した1955(昭和30)年以来、正規の定員内で男性の学生を受け入れるのは初めて。共学化に合わせ学科再編を進め、生活科学科食物栄養専攻の募集を停止し、新たな学部や学科の設置を検討する。少子化などを背景に入学者数が減少傾向にあるため、多様性を重視する現代社会に対応することで高等教育機関としての魅力を高め、卒業後の人材が地域に定着するきっかけをつくる。
短大のホームページで公表した。近年の入学者数は定員の7割程度で、今年は5割程度だった。男女共同参画が進み学生の進路や就業後の働き方が多様化する時代の流れにも対応する。短大が専門とする教育分野に興味を持つ男子高校生からの要望も後押しになった。学科再編では、取得できる教員免許の種類を増やすことなどを模索している。
地方の私大が近年、学生確保に苦慮している中、地方の大学事情に詳しい筑波大の田中正弘准教授は、地元で大学や短大に進学する選択肢を残す必要性を指摘している。その上で国など行政の支援は必要とし、「完全な自由競争では地方の大学は都会の大学に勝てない。地方で必要とされている大学には支援する道理がある」としている。
2026年度には、市内野田町にある系列の桜の聖母中を桜の聖母小がある市内花園町に移転し、男女共学の小中一貫校として開校することが決まっている。■選ばれる大学へ腐心
県内私立大
新学部設置や授業料減
県内の私立大は「選ばれる大学」を目指し、新学部の設置や授業料減額など知恵を絞っている。
いわき市の東日本国際大は2027(令和9)年度に「デジタル創造学科(仮称)」を設け、需要が高まるデジタル変革(DX)人材の教育の場としてPRする。同市の医療創生大は2026年度に学部再編の方針を示している。定員割れが続く薬学部の募集を停止。看護、健康医療、心理の3学部を統合して「総合医療学部(仮称)」とすることで、学習環境の向上を目指す。郡山市の奥羽大は2026年度の入学生から両親らが同大出身者の場合、1年間の授業料を200万円減額する予定。
日本私立大学協会の小出秀文事務局長は「地域の活性化、地方の人材流出防止のためにも地方大学は大切だ」と述べ、自治体などとの連携の重要性を訴えた。