木簡文字「岑越駅」と判明 福島の西久保遺跡で出土 複合的機能の遺跡と裏付け 福島市発表

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福島便り


福島市平石にある奈良時代から平安時代にかけての西久保遺跡で、出土した木簡に記された6文字が「郡司符岑越駅(読み・ぐんじ
みねこし
えき

ふす)」だと判明した。「岑越駅」は福島市と伊達市にまたがる古代の信夫郡の駅[うま]家[や]を指し、役人用の馬が置かれていた。これまで岑越駅の具体的な位置を示す史料は見つかっておらず、福島市は西久保遺跡が交通施設を含む複合的な機能を有していたことを裏付ける記述としている。
木幡浩市長が24日の定例会見で発表し、昨年4月発表時点で示した6文字「郡司不参状□」(□は判読不能)を改めた。市は奈良文化財研究所の協力のもと、木簡を保存処理し、赤外線画像を撮影・分析。古字の崩し字に関する辞典から新たな文字を割り出した。内容は地方の行政を担う郡司が岑越駅に送付した書状とされ、内容は不明という。木簡は長さ13センチ、幅2・7センチ、厚さ0・3センチ。
また、「岑越」の地名は10世紀の書物「延[えん]喜[ぎ]式[しき]」に記載されている。それ以前の史料では地名が確認されていない。市は今回の判明によって発掘年代の8世紀ごろには、既に地名として広まっていたとみている。
市は今年度も発掘調査を継続し、遺跡の歴史的な位置づけを総合的に研究する。