福島便り
福島県古殿町の豊国酒造は月2回、敷地内の蔵を改装した「kuranoba(クラノバ)」で社員食堂を開催している。元々は従業員が集う場として始めたが、交流サイト(SNS)などでおいしそうな食事が人気に。23日には初めて一般公開し、参加者が従業員と一緒に地元食材を使った昼食を楽しんだ。
クラノバは1915年(大正4)年築の木造2階建ての蔵を改装し、2022(令和4)年に交流施設としてオープンした。社員食堂も代表社員の矢内賢征さんの発案で同時期に始まった。
それまで従業員は各自で昼食を済ますことが多く、仕事もあるためメニューも「雑」になりがちだったという。クラノバの完成に合わせ、こども園などで調理師をしていた地元の佐藤アキイさんに調理を依頼した。
社員食堂の模様をSNSで発信すると、佐藤さんの料理に「おいしそう」、「食べてみたい」など反響が多かったため一般公開を企画。町民が案内人になり体験型イベントを提供する町の「フルドノタイム」に合わせ、4月と6月分を募集したところ、予想より早く枠が埋まったという。
23日は佐藤さんが作った唐揚げや町特産のウルイのサラダなどが食卓に並び、それぞれが皿に取り分けていった。いわき市から参加した神田竹男さんは、「一度食べてみたかった。とてもおいしく、蔵の雰囲気も素晴らしい」と話していた。(県南版)