英雄の治療薬解明へ 福島県只見町で没した新潟・長岡藩家老 河井継之助 「薬種簞笥」約160年ぶり中身調査

  • [エリア] 伊達市 只見町
英雄の治療薬解明へ 福島県只見町で没した新潟・長岡藩家老 河井継之助 「薬種簞笥」約160年ぶり中身調査

福島便り


福島医大会津医療センター漢方医学講座の研究グループは26日、只見町の河井継之助記念館にある「薬種簞笥」などの調査を始めた。記念館には幕末の長岡藩家老・河井継之助の最期をみとった医師・矢沢宗益の資料が保管展示されている。河井の没後157年余り、薬種簞笥の中身は未解明だった。研究グループは河井の治療に用いられた漢方薬の解明を目指す。
記念館の薬種簞笥や往診用薬種箱、往診用薬箱には当時の薬が残っているのは分かっていたが、具体的な内容物までは判然としていなかった。会津医療センターが漢方薬の原料として、只見町の草薬シャクヤクを使用している縁で今回の調査が決まった。
漢方医学講座の田原英一教授らが薬種簞笥などを開封し、記載されたメモや目視で中身を確かめた。薬は少なくとも約300種類を確認できたものの、この日は全容解明に至らなかった。保存状態が良好な薬もあった一方、虫食いの被害に遭った薬も見られた。田原教授は「当時は薬を大切に扱っていた形跡が伺え、胃腸や皮膚の疾患に使う薬が確認できた。今後、処方箋などが見つかれば河井に使われた薬も判明する可能性がある」と展望した。
調査には漢方医学講座の秋葉秀一郎助教、会津医療センター付属病院漢方内科の三潴忠通特任教授、伊達市の港屋漢方堂薬局の貝津好孝薬剤師、千葉大の池上文雄名誉教授(生薬学)らが参加した。研究グループは今後、薬などを詳しく分析していく。