福島便り
アニメなどのキャラクターコンテンツを通じて温泉地の魅力を発信するプロジェクト「温泉むすめ」が男女の人生を紡いだ。温泉むすめファンの男性が福島県郡山市の磐梯熱海温泉に足しげく通って旅館の娘と出会い、この春結婚した。「温泉むすめ」を一過性のサブカルチャーと侮るなかれ―。人々の未来にも影響を与える文化と証明された形だ。
温泉むすめをきっかけに結ばれた二人は、新郎が東京都在住の会社員ともずさん(27)、新婦が磐梯熱海温泉・旅館深山荘を実家とする作業療法士まーさん(26)=ともに愛称=。ともずさんは2022(令和4)年に温泉むすめを知って関心を持った。全国の温泉地を巡る中で磐梯熱海温泉の人々の温かさに触れた。「最も推したい温泉地」として月1回ほどの頻度で足を運ぶようになった。
ともずさんは深山荘を何度か訪れ、旅館の助っ人として働いていたまーさんと出会った。それを機に磐梯熱海に来る回数もさらに増え、まーさんとの交際も始まった。互いに絆を育んで3月9日に結婚した。
ともずさんは「感謝の気持ちを忘れない、お互いを思いやれる夫婦になりたい」と今後の新生活を思い描く。さらに「磐梯熱海温泉のキャラクター・磐梯熱海萩ちゃんにも感謝している」と添えた。
26日、二人は県内で温泉むすめのキャラクターがいる五つの温泉地の一つ、福島市の飯坂温泉街周辺でウエディングフォト撮影を楽しんだ。場所はまーさんの母で深山荘の女将佐藤トキさん(59)の薦めで決めた。門出を祝福するように好天に恵まれた。佐藤さんら家族は二人の姿に笑顔が絶えなかった。