福島便り
東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域のうち、福島県飯舘村長泥地区の特定復興再生拠点区域(復興拠点)と、拠点外にある「長泥曲田公園」の避難指示が解除され、5月1日で2年を迎える。拠点内では環境省が除染土壌の再生利用の実証事業を進めており、農地の一部は地権者に返還された。試験栽培の実績を積み上げ、営農再開を目指す。復興の現状を発信する取り組みも始まっている。■環境省
理解醸成、発信を強化
3月末には、新たに堆肥製造施設と近隣農地の計6・2ヘクタールの避難指示が解除された。住民帰還は伴わないが、事業目的での立ち入りが自由になった。村内経済の活性化と地域住民との関わりが生まれることが期待されている。
除染土壌の再生利用を円滑に進めるためには国民の理解醸成が鍵となる。環境省は広報施設「花の里
ながどろ
環境再生情報ひろば(ながどろひろば)」を地区内に設け、4月25日に開所した。施設は地区での環境再生事業の概要の他、村や地区の復興の歩みをパネルや映像で紹介している。地域住民と来訪者の語らいの場にしていくという。環境省は同施設と大熊町に設けた「中間貯蔵事業情報センター」を通して情報発信を強化していく考えだ。■長泥の今を感じて
3日「ワクワクマルシェ」
飯舘村の産品を集めた「ワクワクマルシェ」は5月3日、長泥コミュニティセンターで開かれる。実行委メンバーで村カフェ753(なごみ)を経営する田中久美子さんは「飯舘の魅力に触れ、長泥の今を見てほしい」と来場を呼びかける。
ベーグル販売の村カフェ753をはじめ、ナツハゼ商品を扱うニコニコ菅野農園、エゴマ商品が人気のいいたて結い農園、村内産のもち米「あぶくまもち」を使った甘酒を製造する鮎川農園、飯舘村産黒毛和牛の生産から販売までを手がける肉のゆーとぴあ、花苗を販売する園芸ヘブンなど10店舗以上が並ぶ。震災直後から村民と交流している福島大行政政策学類の大黒太郎准教授のゼミによる「いいたて村の村民食堂」のバイキングもある。
出店する園芸ヘブンの菅野みゆきさんは「ここで出会った人々との縁を大切にし、長泥を花でいっぱいにしたい」と目標を語る。
時間は午前11時から午後3時まで。問い合わせは田中さん。