福島便り
主食用米の価格高騰により、福島県内の農業関係者は国産飼料用米も不足しかねないと懸念している。飼料用米を生産して得る収入は主食用米と比べて少額で、2024(令和6)年産は特に格差が顕著だった。作付け規模を縮小したり、断念したりする人が現れている。■苦渋の決断
田村市船引町で農業法人を営む佐藤正典さん(52)は、飼料用米の作付け面積を2025年産からほぼ半減させる。一方、主食用米の面積を全体の16%から57%に拡大させる。経営を安定させるために決断した。
飼料用米の生産は国が管理している。10アール当たり一律の交付金が国から生産者に支払われる。
佐藤さんによると、主食用米の販売価格と飼料用米の交付金額は1俵(60キロ)当たり1万円ほど離れている。今年から飼料用米の生産をやめた農家も周囲にいるという。
佐藤さんは「食料安全保障の観点からも国産の餌の生産の一翼を担っているという自負心があったので非常に悩んだ」と明かす。その上で「政府には飼料用米の生産者の意欲を低下させない施策を講じてほしい」と望む。