福島便り
東日本大震災からの復興の象徴として知られる福島県南相馬市鹿島区の「かしまの一本松」の跡地に植えられた松に大量の花が咲きそろった。地元住民は松がさらに成長し、かつて広がっていた松林が復活する姿を思い描いている。
「かしまの一本松」があった鹿島区の南右田地区は津波で甚大な被害を受けた。海岸沿いに南北に伸びていた松林は壊滅状態となった。生き残った1本が「かしまの一本松」として、復興の象徴となっていた。
残念ながら一本松は塩害による立ち枯れと防災林整備に伴い2017(平成29)年12月に伐採された。2020(令和2)年3月、跡地にできた防災林の一角に、接ぎ木や種から育てた後継木などの苗を植えた。
植栽当時は40~50センチほどだった苗木は、2メートル前後に成長した。手入れを続けている「かしまの一本松を守る会」の五賀和雄会長(84)によると今年4月下旬から、複数の松に花が付くようになったという。五賀さんは「これまで見てきたが、大量の花が付いたのは珍しい。後継樹の一帯は、周囲の防災林より伸びがいいので、さらに成長が進むきざしでは」と期待を込めている。(相双版)