福島県内の子ども18万84人 減少率拡大 総人口の10.6% ゼロ歳児8000人割れ

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福島県内の子ども18万84人 減少率拡大 総人口の10.6% ゼロ歳児8000人割れ

福島便り


福島県内の4月1日現在の子ども(14歳以下)の数は18万84人で、前年同期に比べ6424人減り、記録の残る1950(昭和25)年以降で最少を更新した。減少率は3・4%で0・2ポイント上昇。総人口に占める割合は10・6%で、前年より0・3ポイント低下した。ゼロ歳児は7990人と初めて8千人を下回り、前年の9千人割れからさらに減少した。少子化が加速する中、専門家は産み育てやすい環境づくりの実現には、行政や民間企業、地域社会の一層の連携強化が必要と指摘している。
5日の「こどもの日」に合わせて県が統計をまとめ、発表した。近年の子どもの数の推移は【グラフ(1)】、ゼロ歳児の推移は【グラフ(2)】の通り。
0~14歳の18万84人の男女別内訳は、男子9万1960人、女子8万8124人。子どもの数は1950年の78万838人をピークに減少が続いており、2022(令和4)年に初めて20万人を下回った。近年は減少率が拡大傾向にあり、5年間で2万3千人余り減少している。総人口に占める割合は20年前の2005(平成17)年に比べて4・1ポイント低下した。
ゼロ歳児は前年より850人減少し、男女別内訳は男子4055人、女子3935人となった。年齢別で最も多い14歳の1万4515人と比べると、6525人少ない。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故発生後は県外に避難した住民の帰還などに伴い一時的に増加に転じた。ただ、2015年以降は減り続け、2023年に1万人を割って9千人台となった。わずか2年で7千人台に落ち込んだ。■県「厳しい現状」
若者の出会い創出図る
子どもの減少は将来の地域社会の担い手不足につながり、経済規模やコミュニティーの存続に大きな影響を及ぼす恐れがある。小中学校の統廃合や県立高のさらなる再編も迫られる。県や各市町村が対策を講じつつも落ち込みに歯止めがかからない状況を、県は「厳しい現状と受け止めている」(こども・青少年政策課)としている。
県は今年度、「ふくしま創生総合戦略」や今後5年間を計画期間とする「こどもまんなかプラン」に基づき、さまざまな少子化対策を展開している。結婚につながる出会いの創出を目的とした若者世代の異業種交流会の開催や、不妊治療への支援などを新たに事業化した。「減少傾向を緩やかにし、反転させられるようあらゆる手を打っていく」(同課)との考えだ。
子育て支援に詳しい、桜の聖母短大の長谷川美香准教授は「地方では女性がキャリアを築きにくく、多様な働き方を選択できる環境がまだ不十分」と就労環境を課題に挙げる。支援の必要な家庭を支えるため、国や県、市町村、企業、地域がさらに連携できる体制を早急に築く必要性も指摘。若者の意見をもっと聞くべきだとして「誰もが生きやすい社会をつくる意識が少子化対策には重要になる」と述べている。