3分運動で生徒健やか 平野中(福島市)が「朝活」 福医大、中学生向けプログラム普及へ 筋肉量増、意識向上

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3分運動で生徒健やか 平野中(福島市)が「朝活」 福医大、中学生向けプログラム普及へ 筋肉量増、意識向上

福島便り


「朝の3分運動」で健やかに―。福島医大保健科学部(福島市)は中学生の健康に役立つ運動プログラムを作り、普及に乗り出した。第1弾として平野中(福島市)が毎朝の活動に取り入れている。昨年度の指導で筋肉量や健康意識に向上が見られ、通年の活動につながった。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故発生以降、県内の児童生徒は肥満や運動不足が指摘されている。指導教員は「健康に役立つ運動習慣を県内に広げたい」と意気込んでいる。
「皆さん、おはようございます!
いすの後ろに立ちましょう」。1日午前8時過ぎ、平野中の各教室に校内放送で快活な声が流れた。生徒は立ち上がり、楠本泰士[やすあき]准教授(39)の案内に合わせて体を動かした。
この日のメニューはふくらはぎのストレッチ、ジャンプ、片足立ちスクワットとかかと上げ。手足を勢いよく振る子もいれば、恥ずかしそうな子も。互いに声をかけ合い、明るい雰囲気で運動を終えた。
プログラムは4月30日に始まった。週ごとに替わる3種類の動きで構成。首のストレッチや肩回し、スクワットなど席の周りでできる動作とし、運動の得意、不得意は問わない。吹奏楽部の鈴木希愛[のあ]さん(2年)は普段、体を動かす機会は少ない。「体が硬く前屈が苦手。習ったストレッチを家でも試したい」と話した。
連携は2年前にさかのぼる。保健科学部が地域貢献の一環として中学生の健康増進に携われる協力校を探したところ、福島市教委から平野中を紹介された。同校は肥満傾向の生徒の割合が市の平均値を上回っていた。所属する部活動や登下校の手段によっても運動量には差があり、「体を動かす生徒、動かさない生徒」の二極化が課題となっていた。
2023(令和5)年度は生徒一人一人の足の状態や歩き方、体組成、血圧、睡眠の質を調べた。続く昨年度は体重や体脂肪率、筋肉量を測った上で運動指導に着手。昨年11月~今年1月に全校生235人が週1回程度、体育館に集まり、楠本准教授ら教員や学生から運動を教わった。
活動前後の測定では、体幹の筋肉量の増加が見られた。開始前後に生徒に行ったアンケートでは健康に関する意識・知識の高まりが確認され、スマートフォンなど電子機器を長時間使う生徒には、使用時間が減る傾向もうかがえた。「部活ではしない動きも多く興味深かった」「全校生で運動できて楽しい」との好意的な声も踏まえ、朝の運動に発展させた。
佐藤裕子校長は「朝から体を動かすと心持ちも明るくなる。運動を続けて心身ともに良い循環をつくりたい」と期待している。







県の2024年度の学校保健統計調査によると、県内の5~17歳は標準体重より20%重い「肥満傾向児」の割合が全年齢で全国平均を上回った。この割合は震災と原発事故後、高い値で推移している。県教育庁健康教育課は福島医大と平野中の連携を「児童生徒の運動量が確保される取り組みだ」と評価している。
保健科学部による指導は平野小でも近く始まる。楠本准教授は「活動内容や成果は交流サイト(SNS)などで積極的に周知する。希望があれば県内各地の学校に出向きたい」と話している。