福島便り
福島県三春町の菓子店「三春昭進堂」代表高橋龍一さん(61)は、1991(平成3)年から新聞折り込みチラシに掲載してきたコラム「塵[ちり]壺[つぼ]」を書籍化した。日々の出来事から三春藩の歴史、寺社仏閣の説明など、これまで書いた330号のうち、130号を444ページにまとめた。古里への誇りと愛情がぎっしり詰まったファン待望の一冊に、話題が集まっている。
高橋さんは「おたりまんじゅう」で知られる三春昭進堂4代目。毎月出す新聞折り込みチラシに、季節のお菓子など商品の説明とともに、販売促進のためになればと日々の出来事をコラムとして添えていた。
会合や商談などで町内外の同業者と話す中、お国自慢が始まり「もっと三春町や田村地区について知りたい」と思うようになった。町史などの文献で歴史を学び、コラムで紹介するようになった。反響もあり、チラシを手に取った人から「自分の地区の歴史を紹介してほしい」「こんな文献がある」などと情報提供もあり、これまで続いているという。長年、読者から要望があったことや高橋さんが還暦・結婚30年を迎えたのを記念して書籍化した。
「塵壺」は長岡藩家老の河井継之助の旅日記から名付けた。本には三春に関する歴史や人物、場所、出来事の他、エッセーなどを掲載している。当時の大河ドラマや好きな音楽などに関連付けた話題などもあり、興味深い。
高橋さんは「まんじゅうやの主人が書いた本で気軽に読んでほしい。本を通じ自分の住む地域の魅力を再確認し、誇りを持ってもらえたらうれしい」と話している。一冊3080円で同店や町内などの書店、Amazonで販売している。