福島県いわき市の伝統小豆を名物に 需要増へ商品開発 第1弾は「水ようかん」 市内の食品製造会社

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福島県いわき市の伝統小豆を名物に 需要増へ商品開発 第1弾は「水ようかん」 市内の食品製造会社

福島便り


福島県いわき市の食品製造業「いわき遠野らぱん」は地元在来の小豆「むすめきたか」を使用した商品を開発し、伝統を守るプロジェクトに乗り出した。むすめきたかは自家栽培が中心で、生産量が年々少なくなってきたため、商品化することで持続的な需要を生み出して生産者を支えていく。商品の第1弾として水ようかんを販売している。千代直人社長(49)は「知名度を高めて名物に定着させたい」と意気込む。
むすめきたかは市北西の山間部に位置する三和地区を中心に栽培されてきた。クリーム色の斑点模様が特徴で、一般的な品種の小豆に比べ皮が薄く半分の時間で煮える。「嫁に行った娘が里帰りした時に、すぐに食べさせられる」とされ、名前の由来となった。約100年前から栽培されてきたと言い伝えられている。千代社長によると、皮が薄く虫害を受けやすいため栽培が難しく、入手が困難になっているという。
遠野らぱんは10年前に食品加工場を設立し、他社からレトルト食品や飲料の製造を委託されている。地域の活性化のため、地元の素材を使った商品を模索する中、むすめきたかと出合った。レトルト食品の製造で培った加熱殺菌の技術を応用し、常温でも日持ちする水ようかんを開発した。手軽に食べられるよう、ゼリー飲料などで使われる容器「スパウトパウチ」にようかんを入れた商品を近く発売する予定。千代社長は「地元の伝統野菜を将来につないでいきたい。名前にちなみ、将来は成人式の会場で配るのが目標」と夢を膨らませる。
むすめきたかの水ようかんは同社HPから購入できる。市内で開かれるマルシェなどでも販売している。