福島のニュース
少子化に関する59市町村アンケートでは、国の「地方創生」に合わせて「人口ビジョン」などの計画で定めた2025(令和7)年の人口の目標値(推計値)を聞いた。今年4月1日時点の推計人口など「現在の人口」と比べると、8割超の50市町村で現在の人口が目標値(推計値)を下回った。「出生数の減少が想定より速い」といった回答からは、少子化が人口減少に及ぼす影響の大きさが浮き彫りとなった。
開きが出た要因に関する分析も尋ねた。「出生数の減少が想定を上回る速さで進んでいるのは間違いない」(福島市)や「少子高齢化が進行し、想定より出生数が少なく死亡数が多かったため」(喜多方市)、「想定を上回るペースで出生数が減少していることが一因」(石川町)など少子化のスピードや程度に触れる回答が寄せられた。
「20代、30代の未婚率が高く、出生数が年々減少している」(会津若松市)と未婚化・晩婚化との関連に言及する声や、「転出・転入の均衡が図られているが、出生者数と死亡者数の自然増減が改善されていない」(三春町)といった自然動態の減少(自然減)を主な要因とする指摘もあった。
現在の人口が目標値(推計値)を上回ったのは8市町村。「高校卒業に伴った転出超過および大学卒業後の戻り幅の少なさの改善が見られた」(いわき市)、「土地区画整理事業地内の宅地造成が好調であることにより、社会減が抑えられている」(鏡石町)と転入・転出の差に伴う社会増減の改善を挙げた。
(1)2014(平成26)年施行の「まち・ひと・しごと創生法」に基づき、人口ビジョンなどに定めた2025年の目標値(2)現在の人口―を聞いた。市町村が現在の人口として回答した時点にばらつきがあることなどを踏まえ、福島県発表の4月1日現在の推計人口を比較対象とした。富岡、大熊、双葉、浪江の4町については県の統計が人口の記載を外しているため、各町が回答した値を用いた。浪江町は2025年の目標値を定めていない。南相馬市は2024年10月の推計値を回答。■新規対策
給食無償化、入学祝い金…
経済負担緩和を重視
アンケートでは、今年度に新たに検討している少子化対策を聞いた。学校給食費の無償化や入学時の応援金の支給など、子育て世帯の経済的負担を緩和する施策が目立った。
給食費を巡っては、いわき市が中学生の無償化、大玉村が小中学校の無償化、新地町が完全無償化に取り組むとした。県教委による昨年5月時点の集計では59市町村のうち、35市町村が全市町村立小中学校で無償化、21市町村で一部補助を実施している。
棚倉町は小中学校・高校への入学時に応援金の支給、石川町は小中学校の新入学児童生徒への祝い金の支給を挙げた。西郷村は主に首都圏に通学する学生に対し、新幹線定期券の一部補助を行うとした。
会津若松市や会津坂下町は1カ月児健診への費用助成、北塩原村は幼稚園の給食化、三島町は高校生の通学補助に取り組むなどと回答。義務教育年代以外の子のいる家庭へのサポートを強める動きも見られた。