新酒日本一“奪冠”へ 21日に鑑評会結果発表 猛暑で「史上最も硬いコメ」 福島県の観光物産館

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新酒日本一“奪冠”へ 21日に鑑評会結果発表 猛暑で「史上最も硬いコメ」 福島県の観光物産館

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日本酒の出来栄えを競う全国新酒鑑評会の審査結果発表が21日に迫った。2022(令和4)年以来、3年ぶりとなる都道府県別の金賞受賞数「日本一」に返り咲けるか―。「史上最も硬いコメ」と言われる高難度の醸造をやってのけた各蔵元は、技術力と誇りを胸に吉報を待つ。地酒を取り扱う酒販店や飲食店の関係者は、千客万来の呼び水に期待を寄せる。昨年の金賞受賞数18銘柄を上回ることができるかも注目される。
「史上最も硬いコメだった」。福島県日本酒アドバイザーで県酒造組合特別顧問の鈴木賢二さん(63)が県内蔵元の苦悩を代弁する。
近年の猛暑により、収穫される酒米は硬い傾向が続く。硬いコメは水に溶けにくく、味や香りのある酒を醸しづらい。「残[ざん]渣[さ]となる酒かすも例年以上だった」と振り返る。ただ、各蔵元は鈴木さんの助言を受け、仕込みの水を減らすなど繊細な調整をしてきた。
鈴木さんは「香り高く、しっかりとした味わいを出せており、出来栄えは昨年並み」と冷静に分析する。昨年は18銘柄で金賞を受け、19銘柄の兵庫県に次ぐ2位だった。「県外の蔵元も年々レベルを上げている中で、良い結果を期待したい」と朗報を待つ。
県酒造組合会長の渡部謙一さん(59)=南会津町、開当男山酒造蔵元=は「県内蔵元は情熱を持って出品酒を手がけ、誇れる品質になっている。一つでも多くの蔵が金賞を獲得してほしい」と話した。
鑑評会は酒類総合研究所(広島県東広島市)と日本酒造組合中央会(東京都港区)の共催で、2024酒造年度(2024年7月~2025年6月)に醸造された酒が対象。県観光物産交流協会によると、県内の47蔵元が出品した。定番の兵庫県産「山田錦」から福島県産オリジナル酒米「福乃香」に切り替えて挑んだ蔵元もある。
福島県は新型コロナ禍の影響で金賞を選ばなかった2019酒造年度を挟み、2012酒造年度から2021酒造年度まで金賞受賞数で9連覇した。「日本一」への返り咲きは、2022年以来の悲願。







審査結果は21日午前10時ごろ、酒類総合研究所のホームページで発表される。県は21日午後5時15分から、福島市のまちなか広場で金賞受賞セレモニーを行い、受賞した蔵元をたたえる。一般市民への振る舞い酒も予定している。