大阪・関西万博 福島県の今が分かった 「復興展示」開始 来場者、認識「更新」 浜通りの未来へメッセージ

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大阪・関西万博 福島県の今が分かった 「復興展示」開始 来場者、認識「更新」 浜通りの未来へメッセージ

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「福島の現在地がよく分かった」「いつか浜通りに行ってみたい」―。20日に大阪・関西万博会場で始まった福島復興展示には国内外から大勢の人が訪れ、東日本大震災、東京電力福島第1原発事故からの復興が進む福島県の現状への認識を「更新」した。来場者は豊かな自然や最新技術の展示・実演、特産品の試食などや福島県関係者との交流を通して福島の魅力を体感。復興を願うメッセージを送るなど被災地の人々に思いを寄せた。
会場のEXPOメッセでは震災、原発事故被災地である福島県の現状を知ろうとする人や福島県出身者、防災の大切さを子どもたちに伝える家族連れでにぎわった。来場者同士がすれ違うのがやっとの時間帯もあり、注目の高さを示した。15市町村の事業者らによる常磐ものの試食会、相馬野馬追の仮想体験会などのブースに立ち寄るだけでなく、未曽有の複合災害を乗り越える県民の挑戦などの話を興味深く聞いていた。震災、原発事故犠牲者への鎮魂や思いを込めたアートの展示なども関心を集めた。
田村市常葉振興公社は、会場内に地元のカブトムシドームを小さいサイズで「再現」。室内にカブトムシを放ち、来場者に環境が回復した福島の自然の素晴らしさを発信した。被災地に関心を持ち、定期的に訪れる「関係人口」を増やそうと力を入れた。神戸市から訪れた鄒[すう]貴光[たかみつ]さん(43)と弦一郎ちゃん(4)ら家族は「福島に行ってみたい」と感動した様子だった。
海外から訪れた人は根強く残る震災直後の印象と現在との差に驚いた様子だった。ムシムシランドが再開するまでの取り組みなどのパネルを見たカナダのキャンディス・ロザックさん(37)は「福島がこんなに復興していると思わなかった」と認識を改めていた。
会場の一画には「浜通りの未来に向けたメッセージ」として、来場者が被災地への励ましの言葉などを寄せるコーナーが設けられた。「一日も早い復興を願います」「大阪から応援しています」などの温かいメッセージが被災した浜通りの地図を次々と埋めていった。
来場者は被災地で進む最先端の技術の研究や開発にも触れた。空飛ぶクルマを開発する「テトラ・アビエーション」(南相馬市)は、操縦が疑似体験できるブースを設けた。幅広い世代の人が詰めかけ、つかの間の“遊覧飛行”を楽しんだ。体験した大阪市の小寺信行さん(70)は能登地方出身。復興道半ばの両地に思いを寄せながら「こんな最新技術が福島で開発されていることに驚いた」と舌を巻いた。同社のエンジニア難波江[なばえ]舜[しゅん]さん(22)は「福島は新たな挑戦ができる地だ。技術で復興を支えることができたらうれしい」と誓いを新たにした。