福島のニュース
いわき信用組合(本部・福島県いわき市)が預金者の口座を偽造し架空融資をしていたとされる問題を巡り、同信組は、東日本大震災、東京電力福島第1原発事故の復興対応で200億円の公的資金注入を受け自己資本が補強された後の2012(平成24)年1月以降、複数の架空融資の償却を行っていたとみられることが23日、関係者の話で分かった。同信組は取材に対し、「(公的資金は)全て復興に充てた」としている。
同信組は、震災などで打撃を受けた地域経済を支えるための経営基盤の強化を目的に、全国信用協同組合連合会(全信組連)と国から優先出資を受けた。信組の自己資本が補強されたことに伴い、償却を進める形になったとみられる。
優先出資に対して、全信組連は年1度、同信組への監査を実施しているが、主に財務基盤の動向把握が目的で、悪意のある不正流用を見抜くことは前提としていない。東北財務局福島財務事務所によると、国も半年ごとの「履行状況報告」を書面で求め、取り組み内容を確認している。ただ、実際に融資した金の流れを詳細に把握するまでの報告は求めていない。
全信組連の担当者は「(公的資金による償却があったとしても)監査で見抜くのは難しい。今後の対応は第三者委員会の結果を待って決める」としている。