福島のニュース
福島県いわき市のJRいわき駅前の繁華街で昨年5月に発生した大規模火災から、26日で1年を迎える。全焼した5棟を含む13棟が被害を受けたが、現場ではがれきの撤去が終了し、市内の不動産業者が飲食店向けのテナントビル1棟を再建した。火災でラウンジ「Hana・華」の店舗を失ったオーナー兼ママの水野真理さんは近く、同ビル1階で長女の満弥さんとともに再スタートを切る。現在は警察から風営法の許可が下りるのを待っており、常連客からは開店を待ち望む声が寄せられているという。
「店が燃えているよ!」。火災時、自宅にいた真理さんは知り合いから連絡を受けて現場に向かった。2011(平成23)年12月に近くから移転して構えた店で、2023年2月には店内の改装を終えたばかりだった。炎にのまれて焼け落ちる店の姿を近くで眺めるしかなかった。
火事後は近くのもう1店舗で営業を続けた。常連客は火事翌日から店に顔を出し、励ましの声をかけてくれたという。真理さんは「店をなくし、全く営業できなくなった人もいる。自分は恵まれているほうだった」と振り返る。
入居していたビルのオーナーを務める市内の不動産・建設業「システム」は、8月中旬からがれき撤去やビルの再建に着手。発災から1年で店の再開につなげてくれた同社に対し、感謝は尽きない。3月に完成したビルに入る新店舗の内装準備は、満弥さんと2人で進めてきた。以前の店舗の雰囲気を残しつつ、壁や天井などにこだわりを詰め込んだ。
再開後は満弥さんが新たに店のママに就く。真理さんも引き続き店に立つ。注目度が高い中での店の再開に「期待に応えられるよう店を盛り上げていきたい」と真理さん。満弥さんは「みんなと気持ちを一つにしてスタートしたい」と力を込めた。